来た道を走って戻った
まだ居ればいいな
そう思って駆け上がった階段
その曲がり角、踊り場で人と勢いよくぶつかった
「「いってーな!!」」
顔を上げると、そこにいたのは田中だった
驚きながら田中をみると田中も驚いた様な顔をしていた
「・・・急いで何処行くんだよ」
「そっちこそ・・・俺はお前のこと探しに来たんだよ」
「それは奇遇だな、こっちだってお前のこと探してたんだよ」
暫しの沈黙が走る
何か言えよ、畜生
「・・・っ何、泣いてんだよ」
お前の所為だ馬鹿
「・・そんなに痛かったのかよ」
あぁ、痛いよ
心が・・・――
「――っ俺はな!お前が、好きなんだよ!!」
伝われ
「お前が、俺のこと惚れさせたんだから・・・っ責任取れよ!!」
伝われ
俺の想い
「責任・・とってください・・・俺、こんなんで良いのかな?田中に好きって言われたから好きになったみたいでさ・・」
「・・・お前が俺のこと好きになってくれたなら、理由なんて何だっていい」
田中の手が俺の前へ伸ばされる
「責任、取らせてください」
その手をしっかりと握った
「・・・俺だって、こんなんでいいのか解んないことだらけだよ」
「うん・・・」
「さっきは・・・傷付けてごめん」
「うん」
「嫌だったからじゃなくて、混乱してた・・・けどもう安心した」
微かに微笑んだ田中の顔を見て何だか自分まで安心して笑みが零れた
それから
「俺のこと威瑠って呼んで・・・っお前のこと、學无って呼んでやっから」
それから
愛しさが溢れた。
13 完
(130108)
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