俺はよくよく考えて見れば田中が嫌いだったんだ
まだ親父が離婚して無い頃母親が言った
嫌い嫌いって思ってると自分の気持ちが相手に伝わって相手にも嫌われる
だからあまり人を嫌いになるな
広い心を持って嫌な所ばかり見ないで良いところも見ていかないと
いつかひとりになる――・・って
そう言った通りだった
親父が母親と離婚してから周りがうざく思えてきた
少しの事でイラついて、嫌いになって
気が付けば周りに嫌われていた
ひとりになってた
田中にも嫌いって気持ちが伝わっていたのだろうか
それなのに俺を好きでいてくれたのはどうしてだろうか
「・・・」
謝りに行こう
前までは泣き顔なんか見られたくないって思ってたのに
今は全然そんなこと思わない
昨日田中の前で泣いた時点でもう俺は田中の事が好きだったんだ
嫌いな訳が無いんだ
だって、信頼してるから泣けたんだ
どうなったっていい
次は「好き」という気持ちがちゃんと伝わればいい。
12 完
(130108)
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