このふたりで以後よろしく。 04



親父の帰りが早くなった

今日も帰ったら家に居るのだろうか


また暴力振るわれるのか




家に帰るのが怖い・・・





てか

田中が話し掛けてこない

話し掛けられても困るけど何か・・ムカつく


付き合ってあげてるんだからそれなりのことしてくれたっていいじゃんって、かなり上から目線な事を考えてしまう俺はやっぱり性格悪い










「田中」

「・・何」

「何で話し掛けてこないの?」


放課後

掃除をして教室に戻ると田中が丁度帰るところだった

教室に誰も居ないし聞くなら今だ


「何で話し掛けなきゃいけないんだよ」

「は?」


なんだそれ・・


「まじ・・ムカつく」

「・・・」

「あー好きとか嘘?」


何で




何でなにも言ってこないんだよ






何でこんなに苦しいんだよ













「俺、田中の事好きになろうと思ってたのに」



目が熱い


こいつの前で涙なんか見せたくない




そう思っていると頭に手が乗っかった







「ごめん、どうすればいいか解らなかった・・・誰かと付き合うとか無かったし」







・・・え?


「付き合ったこと無いの?」

「・・ねぇよ」

それに何だか涙が引っ込んだ

意外っていうか何というかうける


「そっかぁ、無いのか」

「・・・佐々木は?」


あ、初めて名字呼ばれた気がする



「俺も無いけど」

「そっか」


一瞬田中が笑ったように見えた

バカにしたような、安心したような笑み


それにまた胸がぎゅっとなったのは気のせいだろうか



「俺は田中と付き合うのが初めての様に、お前とのキスも初めてなんだからな」

責任取れよ

そう言おうとしてハッとした








「・・前言撤回・・・いままで誰ともキスしたこと無いって思ってたけどあったわ、ごめん」


自分の心を惑わす様に言ったかなり偉そうな言葉が恥ずかしくなってきた


「・・・誰と」

「・・・・・・・・・・・・藤原と」



あれ

これ言って良かったのかな

藤原に悪くないかな


そう色々考えていると田中は静かに口を開いた






















「まぁ・・・俺も藤原とキスしたことあるし」





これは・・・

どう反応すれば


もう笑うしかない



てか藤原って凄い

同性にモテモテじゃん


俺は好きだったわけじゃないけど・・・多分



「・・田中は藤原が好きだった?」


「・・・まぁ」


そうだよね

東が田中を敵視してた理由がやっと解ったよ




「でも藤原が好きだった時よりもお前の方が本気だから」


その言葉にドキッとしたなんてどうかしてる



「・・・今日うち来ない?」

田中が家に来れば親父に手を上げられなくて済む


それから









もう少し一緒に居たいって思った


なんて認めたくないけど。



04 完


(121211)



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