田中に告白されて付き合う事になった
その後、不意にキスをされたけど何故だか嫌じゃなかった
ファーストキスだって思っただけ
「寒いなぁ」
冷たい風に当たりながら家に帰った
玄関を開けると父親の靴があることに気が付いた
いつもは俺が寝てからか朝家を出てから帰ってくるのに
――やだな・・・
もう少し外で時間を潰そうと、玄関の戸を開けた瞬間後ろから声が聞こえ体が強張った
「おい、何処へ行く」
「あ・・・学校に忘れ物を取りに・・っ!」
襟元を捕まれ乱暴に家の中へと投げ入れられる
物に当たりそれらがガシャガシャと派手な音を立てて床に散らばった
「今何時だと思ってるんだ、どうせまたそこら辺ふらついていたんだろう?」
「違う、違うよ・・っ学校で補習受けてただけ・・・!」
俺の倒れた体に跨がり髪を乱暴に掴んで引っ張られる
「あんな点数を取っているからだ・・なんだ23点って・・・!」
腹をグーで殴られる
顔は決して殴らない
痕が残ったら誰かの目に止まるから見えない所しか殴らない
他の人の前では良い父親を演じて卑怯だと思う
髪を掴んだまま、また床へ叩きつけられる
コップが割れたって、お皿が割れたってお構い無しに暴力をふられる
「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
こんなやり方卑怯だって思うのに、何にも言えない自分に腹が立つ
逆らえない自分に腹が立つ
涙を流す自分に腹が立つ。
03 完
(121209)
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