あの空の下でもう1度。 48



あの後藤とふたりで色んな所に行った

大好きな人と過ごす時間はあっという間に過ぎて、気が付けばもう夜になっていた


「もう少しでお別れかぁ・・・」

「何か・・時間経つの早かったね」


雪の降る帰り道

何気なく手を繋ぐとギュッと握ってくれた



「・・・少しあの公園に寄ってかない?」













ーーーーー・・・



「うわぁ、真っ白」

ふたりの思い出の公園は、降り積もった雪の上に足跡なんか付いていなくて一面真っ白だった

その上にふたりで入っていき新しい足跡を付けていった



「東」


進んでる途中、藤が突然停まり俺の名前を呼んだ

振り返れば俺と藤の間は数センチ離れていた


「東に話があります」



「・・・何?」




数分の間藤は俯いていた

そして顔を上げた時、笑顔で言ったんだ





















「――来年には医者になれそうだよ」




















「っ――」


その言葉に藤との距離を詰めて飛び付いた


その衝撃でふたりして後ろに倒れこんだ







「・・・東泣いてるの?」


「やっと夢叶うんだって・・・っ」


「うん」



「藤の夢も、俺の夢も」




医者になる夢、一緒に暮らす夢





「・・頑張ったね・・・っ」

何年もの間

辛くても、苦しくても



「東のお陰だよ・・ありがとう」




背中に回された手

それに応えるように強く抱き締め合った






「東も頑張ったよ・・ずっと僕を好きでいてくれた」







――ありがとう


何度も何度も、そう言われた



こっちだって感謝してもしきれないのに


涙で言葉が出ないんだ




だから思いを込めて唇を重ねた







何度も




ありがとう


大好きを込めて。



48 完


(121202)



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