あの空の下でもう1度。 47



22日

約束の場所へ5分程早く行くと東がもう椅子に座っていて驚いた


「何でもういるの?」

「藤なら5分前に来ると」


何だそれ、と思いながら東の向かい側に座ると手を差し出された

「・・・?」

その手を握ると優しく握り返してくれた





「――久しぶり」






笑顔で言われて顔が赤くなる

東が当たり前にしてる事が僕にとっては嬉しいことなんだ


「とりあえず注文しようか、何食べる?」

「んー・・・ナポリタンでいいや」

「ナポリタンと言えば昔さ、パスタ残してお母さんに食べ終わるまで遊びに行かせないって怒られてたよね、ちゃんと全部食べられる?」

「そんなこと思い出さないでほしかったな・・・いつまでも子供のままだと思うなよ」

そう言うと東が爆笑しだした

意味が解らない、けどこっちまでおかしくなっちゃうのはどうしてだろう


「東は?何食べるの」

「カレーにしようかな」

「・・・カレー東の家行ったとき食べたよね」

「あー・・藤おかわりしてたよね、びっくりした」

こんな少しの事だけでも思い出になるんだ

今日の事だって思い出に残るよね


「そうだ」

メニューを注文した後、東が何かを思い出した様に手を叩いた


「藤に渡したい物があるんだ」

そう言うと東はテーブルの下から袋を取り出した




「Merry X'mas、少し早いけどもらってくれる?」

「あ、りがとう・・」

「ごめんね、今日それ買いに行ってたんだ・・もともとクリスマスに何かあげたくて今日買いに行く予定で・・・いつ渡せるか解んなかったからこんなに早く渡せて良かった、今日誘ってくれてありがとう」


微笑む東とプレゼントを見た後に自分も東に渡したい物があった事を思い出した



「これ、僕からもクリスマスプレゼント」

「え、ありがとう」

東は驚いた様にそれを受け取った後、嬉しそうに笑った


「開けていい?」

「うん、僕も開けていい?」

「いいよ」

プレゼントを開けていると開け終わった東から笑い声が漏れた


何かと思いながら自分もプレゼントを開けると思わず笑いが漏れた















「「同じ物買ってる」」















僕があげた落ち着いた色のニット手袋と赤と紺のボーダーマフラー

東に貰った黒の革手袋と緑と紺のチェックマフラー


ふたりとも同じような物をプレゼントしていた



「藤が寒がりだから」

「東だって寒がりじゃん」

理由まで似ていて再びふたりして笑った

そうして笑っているうちに料理が運ばれてきてようやく落ち着いた


「毎日付けてく、大事にするね」

「僕も」



お互い微笑んだ後、暖かい料理が冷めないうちに手を付けた。



47 完


(121202)



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