あの空の下でもう1度。 42



医者になるのはやっぱり難しくて、思っていたよりも忙しかった

最初の2年は何の為か解らない講習を受けて、やっと医者らしい勉強をさせてもらえる様になったとき色々な実習を受けた

1番辛かったのが解剖の実習

医者になりたいやつがこんなんでいいのかってくらい自分は血が苦手だった

だけど何ヵ月か経つと慣れてきて遅れをとることも無くなっていた

それでも挫けそうな時は時間を見つけて東に電話を掛けた

声を聞くだけで頑張ろうと思えた


色々な実習を何年か受けていると自由な時間はまったく無くなって東と会う時間も、電話をする時間すら無くなって、連絡を取れないで数年

自分にチャンスが回ってきた



病院で研修を受けられる事になった

しかもその病院が地元の病院だった

東に直ぐ連絡を取りたかったが無理だったため数日後、やっと見つけた時間にメールで伝えた


すると“おめでとう”と“うちから通う?”と書かれてメールが帰ってきてた

どうやらその病院と東の家は近いらしい


だけど・・・


“本当の医者になれた時まで一緒には暮らさない”

そう返した



だってそう約束したから

その約束を破ると僕は頑張れなくなる気がするんだ


約束がある方がそれに向かって頑張れる

目標があるからこそ頑張れる



だから、僕が医者になるその時まで待っていてください。



42 完


(121111)



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