何よりも | ナノ
 

よりも



――俺が居なくてももう平気だね



    じゃあね、真ちゃん






「―高尾!」

目を覚ますと見慣れたいつもの部屋が視界を埋めた

最近このような夢をよく見るようになった


身体を起こして茶の間へ行けば「行ってきます」と置き手紙が朝食と一緒に置いてあった

俺と高尾が同居して1年

最初は幸せだった

朝起きれば高尾が居て、家に帰ればまた高尾に会えて

だけどいつの間にかそれが当たり前になっていて感謝の気持ちを伝えることすら忘れていた

そうしてるうちに高尾は夜家に帰るのが遅くなり家を出るのも早くなってしまった


起きても帰っても高尾は居なくて家にひとり取り残された気分になった

それはきっと自分の所為だから特に何も言わないでそのままにしていた


それがいけなかった



夢の様に高尾は突然姿を消した



連絡も繋がらなくて不安でどうしようも無くなった

それから3日後、やっと高尾の方から連絡がきた



「高尾・・!いままでどこに、」

「「ごめん真ちゃん、俺・・・浮気してた」」

その言葉に頭が真っ白になった


「「真ちゃんはさ、もう俺が居なくても平気でしょ?でもあいつには俺が必要なんだよ」」



――真ちゃん


      まったく真ちゃんは

ほんと俺が居ないと駄目なんだから


   真ちゃん大好きだよ



 ずっと側に居てやるかんな!・・・




「高尾・・・お前は嘘を付いたのだよ」

「「うん・・知ってる」」

「だから最後に好きだと言ってくれ」


これが最後のわがまま

今までで1番大きなわがまま



「好きだよ、真ちゃん」

「―・・・幸せにな」



ずっと一緒に居て欲しかった

どうしようもなく好きだった


側に居てくれることが何よりも幸せだった


だけどお前はもう居ない



お前が今まで俺に幸せをくれた様に次はお前に幸せをやる

だからお前が次の人と幸せであることを心から願ってる



大好きだった


今までありがとう。



end


(120923)



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