「好き」と云えない | ナノ
 

き」と云えない



「いい加減にしろ高尾!」

弾かれた手をただ見ていることしかできなかった

また失敗だ


機嫌がいいからいけると思ったんだけどなぁ・・・



今日は真ちゃんの家に半ば強引に上がり込んだ

まぁ強引に上がり込んだのだから真ちゃんの機嫌が悪いなんて当たり前

だから特に何もせず小説を読んでいる真ちゃんの隣に座ってた


「高尾」

するといきなり名前を呼ばれて振り向けば不意に唇が触れたんだ

「え・・っちょ、真ちゃん?」

何度も触れるだけのキス

それを繰り返しているうちに押し倒されてぎこちないキスだなぁとか思っていると「体勢逆にできるかな」とか思い始めた

肩をぐっと掴んで反対側に押せば割りと簡単に押し倒す事ができた

いきなりのことに戸惑っている真ちゃんの唇を塞ぐとかなり力が入っている事に気がついた

それを解くように手を握ると握り返され今日は素直だなぁとか頭のどこかで思っていた


「真ちゃん俺の事好き?」

気が付けばそう聞いていた

だって今まで俺からしか言ったこと無かったんだよ?

「な、にを今更・・・」

「好きって言ってくれるまで続きしてあげないよ?」

焦らすように右手で首を撫でると繋いでいる方の手を弾かれた


「いい加減にしろ高尾!」


確かに俺も悪かったけどさ

「今日はもう帰れ」

そこまで怒らなくてもよくない?


「真ちゃんなんか・・・明日迎えに行ってやんねぇから!」



なぁんてバカなこと行って飛び出したけど結局迎えに来ちゃうんだよね


「「真太郎ならもうとっくに家を出ました」」

「あー・・そう、ですか・・・」

来ないって言ったけどさ!

冗談だって解ってよっっ!



「真ちゃんおはよう」

「・・・あぁ」

それから部活が終わるまで一言も交わさなかった


「今日さぁ真ちゃん家まで迎えに行ったんだけど」

「・・来ないと言っただろう」

「冗談だって」

笑って言うも真ちゃんは元気になってくれなかった

いつもなら俺が笑うと微かにだけど笑い返してくれるのに


「真ちゃんさ、ああいうの本気で受け止めなくていいんだよ」

そう言うと暫し沈黙になった

どうしたのかと顔を覗こうとした瞬間真ちゃんが口を開いた


「慣れてないのだよ・・っ俺はこんなに親しくなったの・・・お前ぐらいだから・・どうすればいいかなんて」

「真ちゃん・・・」

「昨日だってああすれば伝わると思っていたのに・・わざわざ聞いてくるからイラついただけなのだよ」

あぁ、そっか・・昨日のキスは真ちゃんなりの愛情表現だったんだ

それなのに俺・・・

「ごめんね真ちゃん」

「こっちこそ・・悪かったのだよ」

座っている真ちゃんの前にしゃがんで手を握り顔を覗き込んだ

伏せた瞳が悲しそうに見えた


「お前はいっつも馬鹿みたいに元気で馬鹿みたいに笑って・・だけど俺の事気遣ってくれて・・・そういうとこ・・っ」

一瞬時が停まった様に周りが静かになってずっと聞きたかった言葉が綺麗に耳へと届いた



「好き」



真っ赤な君が愛しくてキスをする3秒前。



end


(120820)


ーーーーーーーーー

初高緑
黒子のバスケにはまりました
今までにないぐらいはまっています(^^)

タイトル「君にキスをする3秒前」と迷いました
「好き」と云えない なのに
「好き」って言ってしまっていますね;;

昨日頭の中でネタをふたつほど考えていたのですがひとつ忘れてしまいました・・・

はい

ここまで読んでいただきありがとうございました
次回もよろしくです!


終わり



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