あの空の下でもう1度。 40



東京に戻る日

東が見送りをしてくれた


「何かあったらいつでも話聞くから電話してね」

「うん、ありがとう」

暫しの沈黙の後、まだ時間があることを確認して東を人影の無い場所へ連れてきた


「どうしたの?」

「もう暫く会わないと思うんだよね」

人影が無いからか東は僕の手を握っていた


「だから・・・最後にキスして?」


そう言うと東は微笑んでそっと唇を重ねた


そのたった数秒の間、時間が停まった様な感覚になった



「―・・・藤大好き」

「うん・・僕も東が大好きだよ」


「ありがとう」

強く抱き締め合った後に東が何かを思い出した様に口を開いた


「俺さ、そのうち一人暮らししようと思うんだよね」

「うん」

「それでさ・・・藤の夢が叶って、こっちに戻って来たら俺と一緒に住もう?」

真っ直ぐに目を見て言う東に笑顔で返した


「もちろん」



その後、時間になるまで他愛ない話をしていた。



40 完


(121007)



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