東京に戻る日
東が見送りをしてくれた
「何かあったらいつでも話聞くから電話してね」
「うん、ありがとう」
暫しの沈黙の後、まだ時間があることを確認して東を人影の無い場所へ連れてきた
「どうしたの?」
「もう暫く会わないと思うんだよね」
人影が無いからか東は僕の手を握っていた
「だから・・・最後にキスして?」
そう言うと東は微笑んでそっと唇を重ねた
そのたった数秒の間、時間が停まった様な感覚になった
「―・・・藤大好き」
「うん・・僕も東が大好きだよ」
「ありがとう」
強く抱き締め合った後に東が何かを思い出した様に口を開いた
「俺さ、そのうち一人暮らししようと思うんだよね」
「うん」
「それでさ・・・藤の夢が叶って、こっちに戻って来たら俺と一緒に住もう?」
真っ直ぐに目を見て言う東に笑顔で返した
「もちろん」
その後、時間になるまで他愛ない話をしていた。
40 完
(121007)
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