あの空の下でもう1度。 37



「「もうこっち着いたの?迎えに行こっか?」」

「大丈夫、一回親に顔見せてから行くから」

「「解った」」

電話を切ってから雪の積もった雪道を歩いた

この間来たときも雪は積もっていた

だけど今日はそれ以上に積もっていて東京とは違う懐かしい景色に息を吐いた



「お帰り明兎」

「ただいま、体調大丈夫?」

「大丈夫よ、心配しないで・・・今日は由宇くんに会いに行くんでしょ?」

そう微笑みながら言われてなんだか恥ずかしくなった

「・・今日泊まるかもだからご飯用意しなくていいからね」

「かもじゃなくて泊まるんでしょ」

お母さんには何でもお見通しでほんと恥ずかしい・・・

「何かあったらすぐ電話してね・・いってきます」

「行ってらっしゃい」


ただいましたばかりなのにまた直ぐに行ってきますと言うのに変な感じになりながら家を出た



東の家へ向かう途中に通った本屋

そこに見覚えのある人が立っていた



「・・威瑠くん?」

「え・・・藤原!?」

やっぱり

久しぶりに見た威瑠くんは元から大人っぽいのに更に大人っぽくなっていた

「久しぶりだね、誰かと待ち合わせ?」

「うん・・まぁ、」

あ・・

もしかして・・・


「田中?」

「え、何でっ?」

「だって田中、威瑠くんのこと好きだって言ってたから」

徐々に赤くなっていく威瑠くんを見て付き合っていることを確信した

「うまくいってる?」

「うん、まぁ・・・藤原は、どうなの?」

「うん、まぁ」

笑いながら言うとつられた様に威瑠くんも笑いだした


「どうせ今から東の家行くんでしょ?」

「うん」

「じゃあ早く行ってやんなよ、東の事だからきっとそわそわしながら待ってるぞ」

そんな東を思い浮かべたら思わず笑ってしまった

別れの言葉を告げて手を降りながらその場を後にした


再び東の家までの道を歩いた

その途中、田中を見かけたけど田中は此方に気が付かなかった

きっと威瑠くんのことで頭がいっぱいなのだろう



「ふたりとも元気そうで良かった」


そう呟いて東の家へと急いだ。



37 完


(120916)



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