あの空の下でもう1度。 36



結局あれから藤が会いに来る事は無く、4日後に「東京に戻った」とメールが届いた

何となく解っていた事だけれど少し期待してた

必要とされてないんじゃないかと不安になって「次はいつ会えるんだろうね」とメールをすると返事が返ってこなかった


信じると決めたのにこんなこと聞いちゃうなんて、自分が恥ずかしくなった



次の日バイトが終わって家でゆっくりしていると藤から電話が掛かってきた

また何かあったのかドキドキしながら電話に出た


「もしもし?」

「「昨日どうした?」」

「え、何が?」

「「メール・・・東らしくなかったから」」

俺らしくなかったってどういうこと・・・?


「「もしかして会いたかった?たくさん迷惑かけたからこれ以上かけないようにって我慢したんだけど・・・」」

「会いたかったよ・・迷惑なんて思ってないよ・・・!我慢しないでよ」

「「ごめん・・・けど東こそ、メールおかしかったよ」」

いつも通りのメールを送ったはずだった

だからどこがおかしかったのかなんて解らなくて「何が?」と聞くと藤は少し間を置いてから口を開いた

「「会いたいじゃなくていつ会えるかだったから・・・自分の気持ちを遠回しにしてるから」」

つまりは正直に言わなかった事だろうか

確かにいままで自分のしたいこと、ストレートに言ってきた気がする・・・

「「だから・・会いたいって思ってくれてるのか違うのか解らなくて返事できなかった」」

「会いたいよ・・すごく会いたい・・・これが自然に会いたいって事なのかな」


――もっと自然に会いたいって思えるまで・・・

あの言葉の意味

未だによく解らないけど今までと違う「会いたい」だってことは解る


「「冬休み会おっか」」

「―うん!」


1年もの間ずっと待っていた

メールをしていない間何度も不安になった

だけど君の言葉を信じて乗り越えてきたんだよ


だから・・・



「会ったら覚悟してね」



今までの分存分に愛させて。



36 完


(120915)



戻る


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -