あの空の下でもう1度。 35



「結果解ったらまた電話して」

「「・・うん」」

「切るよ?」

そう言って切ろうとした瞬間「待って!」という声にびっくりして手を止めた

「「後少し・・・」」

「・・・やっぱり結果解ったらうちに来て」

「「うん」」


それから5分間

特に何も話さずに携帯を耳に宛てていた


「「・・・ありがとう・・」」

「うん」


電話を切ってからずっと落ち着けなかった

藤のお母さんも藤も心配で・・・







再び電話が掛かってきたのは夜中だった

「「今東の家の前・・ごめんね夜遅くに・・・」」

「大丈夫だよ、俺が来てって言ったんだから・・今開けるね」


玄関の扉を開ければ藤が俯いて立っていた

名前を呼べばゆっくり上を向き、目が会うと泣きそうな顔になって抱き着いてきた

「っ・・どうだった?」


「・・・とりあえずは安心で・・2、3日様子見・・・怖かった」

「良かった・・怖かったよね・・・泣いてもいいよ」

頭を優しく撫でると安心した様に崩れ落ちた

それを受け止めて強く抱き締めた


よっぽど怖かったのか藤は朝まで泣いた

藤にとってお母さんがどれほど大切なのかを知った


「ごめんね・・・一緒にいてくれてありがとう」

「平気だよ」

泣きすぎて腫れた瞳にキスを落とし後唇を重ねた

数秒してから離れてまた抱き締めた


「・・様子見の間こっちにいるんだけど・・・会いたくなったら来ても良い?」

「もちろん」


笑って言うと微かに笑い返してくれた

その顔に少し元気になったかなって安心した。



35 完


(120821)



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