あの空の下でもう1度。 34



毎日していたメールが週に1度だけになり

週に1度していた電話は1ヶ月に1度だけになった

そうなったばかりの頃メールで「結城先輩に何もされてない?」と何度も聞かれた

電話をしたときにバイト違うところにしようかと聞くと「それはいい」と言われ結局同じ所でバイトを続けている

あれから結城先輩は何もしてこないし

逆に避けられている気がする

まぁ東にとっても僕にとっても安心だからいいけど


半年もすると東とのメールも電話も無くなって気が付けば2年生になっていた

2年生になったばかりの頃東にメールしようとしてやめた

メールも電話もこないのが不安になったけど自分で決めたことだから東を信じた


そして東京に来て2度目の冬

気が付けば1年東と連絡をとっていなかった


そんなある日バイトを終えて携帯を開くと伯父から電話が何通も入っていた

1番最後に来た電話には留守電が入っていて、何かと思い聞いて見ると衝撃的な内容だった















「「お母さんが倒れた」」









――伯父さんは先に行くから後で時間調べて来て

病院の場所は・・・



急いで家に帰ると当然ながら発作が起きた

喘息持ちな自分を憎く思った

呼吸が収まってから列車の時間を調べると今からでは間に合わなくて次まで時間があった


「どうしよう・・早くしないと・・・っ」

焦りながら支度をしていると携帯が目に入った

略無意識に東に電話を掛けていた


「「もしもし?」」

「東―!どうしよう・・・っお母さんが、」

パニックになって気が付けば半泣きになっていて

まとまらない言葉で必死に状況を説明した


「僕が近くにいれば・・・東京に来なければ・・!」

「「藤・・落ち着いて、」」

「落ち着いてられないよ!!」

声を荒げて怒鳴った

それほど余裕が無かった


「医者になるのが夢だった・・・苦しんでる人を助けたかった・・お母さんがいつこうなっても大丈夫なように・・・!」

「「藤・・・、」」

「大切な事を忘れてたんだ・・っ」

涙が流れて止まらなくなった

お母さんの近くにいること、それが何より大切で何よりの親孝行だった


「「大丈夫・・・藤のお母さんならきっと・・」」


今はそれを信じるしか無かった。



34 完


(120819)



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