無色透明。 嬉



「156円になります」

「手紙渡しといたよ」

「4円とレシートのお返しです」

新崎はお釣りを受けとると俺を見てまた笑った

「何?」

「結城泣いてた・・けど頑張るから成音も頑張れって言ってたよ、笑って」

「そっか・・・」


元気になれたかな

また笑って、元気に学校行ってくれるかな


「大丈夫だよ、結城なら」

「・・・新崎ってたまに俺の心読んだ様にこと言うよね」

可笑しくって小さく笑うと新崎は凄く驚いた様な顔で此方を見た


「神谷笑った」

「えっ?」

何か駄目だったのだろうか・・・

そう不安になってると新崎は笑顔になって言った


「笑ってた方が良いよ」


「・・・そう言われると笑いづらいな」

笑うってどうやって

今まで笑うなんてことしてなかったから


「・・ねぇ、神谷・・・神谷はもう1度人を信じてみたりしないの?」

「・・・しないよ・・」


「俺は神谷を裏切ったりしないよ・・・俺の事信じてみない?」


そんなこと言ってもどうせ裏切られる

生来だって裏切った

信じてたのに裏切ったんだ


「・・俺は新崎のこと良く知らない・・・新崎の好きな事も嫌いな事も・・下の名前すら知らない」

「・・・そんな人は信じれないってこと?」

「うん・・だから・・・少しずつ、少しずつでいいから新崎の事教えてほしい」


何故かは解らない

だけど新崎なら信じられるって思った

それなら最初から信じてしまうより少しずつ、信頼を得れば良い


それなら裏切られたときのダメージは少しでも小さくなるだろう


「それでもいいなら・・仲良くしよ?」

「もちろん!・・・新崎朱鳥、よろしくね」

「神谷成音・・よろしく」


この日交わした握手を忘れない。



嬉 完


(120807)



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