無色透明。 情



「「結城、出てこられる?」」

インターホン越しにそう問われたが何も言えなかった

外に出たくなかった


「「・・・神谷から手紙預かって来たよ」」

―成音から?

それを聞くと頭が真っ白になって気が付けば家のドアを開けていた


「痩せたね・・はいこれ」

ふたつに折られた小さな紙を開いてその内容を読んだ



――お前の事だからどうせ俺が学校辞めたのは自分の所為だとか、夢潰したとか気にしてんだろ?

生来の所為じゃないから

夢だってお前のお陰で自分には無理だって解ったんだから

だって人と関わらなきゃいけないんだよ?

俺には無理だよ

今はバイトで少しずつ人に馴れようとしてるよ

高校行かなくったっていつか絶対に夢叶えてやるから気にするな

それからお前ちゃんと学校行け

俺の事気にしてるだけ無駄だよ?

バスケットボール選手になるのが夢なんでしょ?

頑張れ生来


夢叶えないとぶっ飛ばすかんな―・・・



「なん、で・・・っ」

「・・結城?」

「何で・・俺の気にしてる事知ってんだよ・・・っ何で許せんの?」


俺は夢を潰した事1番気にしてた

だって夢の話ししてる時の成音、すごく本気な顔してた

その顔が忘れられなくて、俺が成音の夢潰した何て誰にも言えなかった

新崎にすら相談できなかったのに・・・


「俺、成音の為なら・・自分がどうなったって良いって・・・思って、たのに・・怖かった・・っ」

怖くて裏切る事しかできなくて、傷付けた

「何で・・すぐ、成音が何より大事だって事に気付けなかったんだろ・・っもっと早く気がついてれば・・」


もうどんなに悔やんでも悔やみきれない

けどいつまでもこうしてちゃ、駄目だよね


「結城・・・」

「新崎、ありがとう・・・成音に頑張るからって言っといて・・成音も頑張れって」

成音にぶっ飛ばされないように


成音が前に進んでいるように、俺も前に進まなきゃ




君と最後にした約束

今度こそ守ってみせるから


絶対に夢を叶えるよ。



情 完


(120806)



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