あの空の下でもう1度。 28



大学を出ると門の前に見覚えのある人が目に入った

急いで駆け寄るとやっぱり知っている人物で驚いた


「東?」

「おつかれ、藤」

疑問がたくさんあったがここで話すのも何だし近くの公園へ行くことにした








「・・どうして東が東京にいるの」

そう聞くと東はきょとんとした後笑いだした


「言ったじゃない、いつでも会いに行けるようにするって」


そう言われて心が痛かった

笑顔が苦しかった


その度にこんな僕で良いのかって思ってしまう



「藤、左手出して」

「・・・うん」

何を思ってそう言ったか何て解ってる

手を出すと予想通りリストバンドが腕から取られた

東は傷に触れるだけで何も言わなかった


「・・東怒ってないの?」

本日2度目の質問をしてみた

ずっと不安に思ってた事


少なくとも電話では怒ってなかったと思う

だけど実際会ってみるとどうなのか解らない


「怒んないよ・・藤が腕切るほど悩んでるのに・・・俺は何があったのか聞きに今日来たんだよ?」

「・・・何があったかなんて言ったら怒るでしょ?」

「場合によっては怒るかもね・・藤はどうしてそんなに怒られるのが嫌なの?」

「・・怒られた事が無いから・・・1度しか」

中学の時先生に怒られ時だけ

本気で怒られたのはその時しかなかった

親にも本気で怒られた事が無いから


「だから反省の仕方が解らない」

東に怒られた時もどうすれば良いのか解んなくなって結局東が謝るきっかけを作ってくれるばかりだった


「怖いんだ・・怒られた後どうなるかわからないから・・・」

「俺が教えてあげるよ・・これから・・・だからこの間の事話して」

少し悩んだ

だけど逃げてばかりじゃ駄目だと思い話すことにした


「・・・結城先輩に・・キスされた」

「・・は?」

「ごめん・・・警戒しなかったから」

今回の事は解らない

どうしてキスしてきたのかなんて


「僕は結城先輩の友達じゃないって言ったけど知ってるって言って・・やめてくれなかった」

「藤はその人の気持ちが変わるとか考えなかったの?男が好きだった人だよ?また他の男に恋だってするじゃん」

そんなこと無いと思ってた

だって結城先輩その人の事話すとき悲しそうだったからきっと忘れられない人なんだと思った

でも人間なんだから変わる事ぐらいあるか・・・


「・・あ・・・」

「何?」

「・・・何でもない」

ふと思った

東は僕を嫌いにならないって言ったけど

僕も東をずっと好きでいるって言ったけど


いつかは変わる日が来るのかもしれない・・・


「・・東今日泊まってく?また夜ゆっくり話そ・・・僕これからバイトだから」

「俺は明日バイト無いからいいよ」



いつかがいつ来るか解らないけど絶対に来るんだ


永遠なんて無いんだから。



28 完


(120816)



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