あの空の下でもう1度。 25



昔付き合っていた相手からまた電話が掛かってきた


「「聞いたよ、遠距離なんでしょ?」」

誰がそんなこと・・・

そもそもそんなこと調べるなんてどうかしてる


「「遠距離なんて続かないよ・・・ねぇ、別れるまで待つから私と付き合ってよ」」

「・・別れないから」

「「いつか別れるよ」」

しつこい

「「だって遠距離だもん」」

うるさい

「「7月には終わるよ」」



黙れ



「「相手のこと考えないで遠くに行くって何考えてんの?いったいどんな女?」」

「男だよ」

「・・・え」

「男だよ、付き合ってるの・・それから行けって言ったの俺だから・・・俺の大切な人悪く言ってどうなるかわかってんの?」

相手は暫く無言になった

その後に「嘘でしょ」と言う小さな声が聞こえ俺はそれに対して「本当だよ」と言って電話を切った

するとまた直ぐに電話が掛かってきてイライラしながらディスプレーを見ると愛しい人の名前が書いてあった

「もしもし」

イライラは消え去り嬉しい気持ちで電話に出たが一向に声が聞こえなかった

「・・・藤?」

「「・・・誰と話してたの?何回掛けてもずっと話し中だった・・・」」

「あ、ごめん・・」


言った方がいいのかな

言ったら藤悩みそう・・


「「・・誰か言ってくれないんだ?言えない様な人なの?」」

「そういうわけじゃ・・・」

「「じゃあ誰?」」


あぁ、もう

「昔付き合ってた人、最近やり直さないかってしつこいんだよね」

「「そうなんだ・・言ってほしかった・・・」」

「そうだよね・・・ごめんね」

俺も藤が元恋人とかにやり直そうって言われたら言ってほしいし相談してほしいんだから藤だってそう思うよね

どうして直ぐに気が付かなかったんだろう・・・

「・・・そういえば藤は用件があって電話してきたんじゃないの?」

「「あ、うん・・東と同じ様な事なんだけど・・・前助けてくれた人に告白された・・断ったけど」」

「え?助けてくれた人って・・何を?」

「「・・・痴漢」」


え・・・えーと・・・

痴漢に遇うってやっぱモテるんだ・・

ていうか痴漢から助けてもらったって事はそいつ男だよね?

つまりは男に告白されたって事?

「「ごめん・・やっぱ言わない方が良かった?すごく悩んでたんだけど・・・結城先輩に相談したら、東がそうなったら自分はどうしてもらいたいかって言われて」」

結城先輩に相談したんだ

多分先輩には俺が恋人だってばれてるだろうし相談できる人って言ったらその人しかいないだろうね

「「もし東がこういうことあったら僕は言ってほしかったから言ったんだけど・・・東は言ってほしくなかった?」」

だけど藤は1度先輩とキスしてるんだよ?

どうしてもっと警戒しないの?

だから痴漢に遇ったり告白されたり・・・


「「東・・聞いてる?」」

「あ・・・のさ、あの先輩のことまだ信用しない方がいいよ」

「「・・・どうして?」」

「どうしてって・・・気を付けてって言ったじゃん!だから痴漢に遇うし告白されるし、何でもっと周りを警戒できないの!?」


言い終わってからハッとした

どうしてこんなこと言ってしまったんだろう・・・


「「・・やっぱ言わなきゃよかったね・・・話し聞いてくれないし・・・東京にも来なきゃよかった」」

「藤・・ごめ、」

「「話し聞いてくれない人・・・1番嫌い」」



そう言って電話を切られた

今の声、今まで聞いたことが無いくらい悲しそうだった・・・



俺達なら大丈夫だって思ってた


だけどそれは願望に過ぎない




やっぱり遠距離は上手く行かないのかな・・・。



25 完


(120808)



戻る


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -