あの空の下でもう1度。 20



「こんなに性格悪いのに・・」


何処が好きなのと言った藤の涙は停まる事が無かった

俺は藤に会ってからずっとダメージを与えていたんだ


「藤は優しいよ・・性格悪くなんかない・・・性格悪いのは俺の方だよ」

何度「好き」と言われてもすぐに不安になって束縛する事でしか安心が得られなかった


「藤は俺を嫌いになることは無いって言ってくれたのに・・」

そう言ってもらうばかりで俺は安心させてあげられる事をなにひとつ言ってあげられて無い

揚げ句にはあんな事までして「好きとか信じられない」って言われても当たり前だ

泣かれて当たり前だ


「俺は藤の全部が好きだよ・・自分のことよりも人のことばっかりで、だけど俺には頼ってくれて・・・俺の独占欲も受け入れてくれて、文句の付け所なんて無いよ」

「・・僕といてストレス溜まらないの?僕は1度東の事過呼吸にさせたのに」

「まだ気にしてたの?・・ストレスが無いって言ったら嘘になるけどそれは藤の所為じゃないから・・・過呼吸になったのだって藤の所為じゃないよ」


ストレスの原因は自分だ

藤は俺を好きではないんじゃないか、他の人に心が変わってしまっているんじゃないかって

そうやって自分で自分を追い詰めてる

過呼吸だって俺がした事の所為で藤が泣いてしまったんだ

それでどうしたらいいか解んなくなって・・・

元をたどれば必ず自分がいる


「俺だって藤に酷いことたくさんしてる・・今日無理矢理走らせて喘息にさせた・・・苦しかったよね」

髪に指を絡めて撫でるように首まで手を滑らせ、また頬に戻る

「首も頬も・・痛かったよね・・・っごめんね・・・でもね、藤のことちゃんと好きだよ」


再び涙が込み上げてきて頬を伝ったのと略同時に抱き着かれ、それを受け止める



「こっちこそ、何度も謝らせてごめんね・・っ・・こんな僕を好きでいてくれてありがとう・・・僕も東のこと、ちゃんと好きだよ・・・っ」

「うん・・うん・・・ありがと・・・っ」


苦しい程に抱き締めて

それでも藤は嫌とも言わず逃れようともせず


より強く縋ってくれた



もう何度喧嘩したか解らない

だけどその喧嘩した分だけ、前よりも君の思いを知れて俺の思いも知ってもらえた


その分だけ、また好きが深まった気がした。



20 完


(120802)



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