あの空の下でもう1度。 11



「それじゃあ、わからないことがあったら結城くんに聞いてね」

「はい」

「結城生来です、よろしくね」

てっきりゆうきというのは名前だと思っていたが苗字のようだ

「藤原明兎です・・よろしくお願いします」


最初はいい人だと思っていた

分かりやすく教えてくれるし後から困りそうな事は最初に説明してくれた

だけど休憩中

突然頭に手を置かれて何かと結城先輩の方を向くとにっこりして言われた

「身長低いね、何センチ?」

「・・・何センチでも良いでしょ」

「あぁ、ごめんね、俺の友達に雰囲気とか似てたから・・その人と比べると藤原君の方が多分小さいから・・・165センチも無いでしょ?」

そんなたった2センチの差が解るなんて・・適当に言ったのか?

どっちにしても当てられた事がムカつく

「藤原君は何型?」

「・・B型です」

「あー惜しいなぁ、友達はAB型なんだよね」

そんなのどうでも良いのですが・・・

この事があってからいい人イメージが嫌な人になった





ーーーーー・・・



「・・・最悪」

「あれー?藤原君今日シフト入ってないよ?」

今日はシフトが入っていると思って来たが、店長に入っていないと言われ結城先輩にも言われた

どうやらシフト表を見るときにひとつずれた場所を見ていた様だ

「良かったら一緒に帰ろっか、俺もうバイト終わったし」

「・・お断りします」

「遠慮しないの!電車で通勤してるんだっけ?俺も電車だから」

遠慮してないしそんな事言ったこと無いのに当ててしまう所とか苦手だ


そんなこんなで駅に向かう途中

お得意の質問攻撃をされた

「部活やってた?」

「やってません・・転校多かったんで」

「卒業したのは何処の高校?」

質問責めに多少うんざりしながら学校名を答えるとすごく食い付いてきた

「ほんと!?俺もそこの卒業生!藤原君はいつ転校してきたの?」

「・・2年生の途中です」

「あー残念、もう卒業しちゃってるわ」

駅に着きそこで会話は終わった

電車に乗って間も無くして雨が降りだした

「ありゃあ、降ってきちゃった・・藤原君傘ある?」

「無いです」

「家まで徒歩何分?」

「20分程だと思います」

結城先輩は「遠いなー」とか言いながら何かを考え始めた


「よし、うち来るか」


―・・・は?

何を言っているんだこの人は

友達でも何でもない人を家に呼ぶって・・・

「走れば3分ぐらいで着くと思うよ」

「・・・走れないんで良いです・・どうせ濡れるし」

「走れないって、足とか痛めてんの?大丈夫?」

足下を見た後、空いている席は無いか探しだした結城先輩を止める

「喘息です」

「そっか、じゃあうちまでゆっくり歩いて行こうか」


断ってるのに・・・

強引だ

この様子じゃあ何度断っても無駄な気がして家にお邪魔させてもらう事になり、電車を降りて大雨が降る中ふたり並んで歩き始めた。



11 完


(120702)



戻る


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -