兄と弟の差 | ナノ






兄と弟の差

「現代社会のテストを返すぞ」

―アスベル・ラント

・・・・・・・・・・・・32点・・



「お・・怒られる・・・」


今日の部活はとても怖いです



「剣道部で現代社会が50点以下だった者がひとり居ます」

「俺ですね」

「その通りだ」

部活が終わった後残るように言われ待っていると、やはり予想通り怒られてしまった

「まぁできないものならどうこう言うつもりは無いが、今回はできるものもできなかっただろう?」

できるものができなかった

先生は鋭い

特別苦手な単元では無く、寧ろ得意な所だった

それができなかったのはまだヒューバートの事で悩んでいるからだ


「・・・先生、ヒューバートは何点でしたか?」

「あいつはクラスで1番良かったな・・・確か97点だったと思うぞ」

97点・・・

俺の点数を倍にしても全然追い付けやしない


「俺は・・・時々ヒューバートの方が兄に見えます」

「・・・ほう?」

「兄として何ひとつ満足にしてやれていない・・・って先生に言ってどうするって感じですけどね」

いつの間にか自分の思いを勝手に話していた事に気が付いた

「・・失礼します」

その場を後にしようと後ろを向いた時、先生が言葉を発したため足が停まった

「自分はどうしたい?ヒューバートの役に立ちたいのか?」

「・・勿論です」

「ならヒューバートにそう言うんだな、自分の想いを出さないからひとりで悩むんだ」

この間先生に自分の想いを言うように言われたが結局は言えなかった

それはきっと俺がヒューバートに遠慮している部分があるからかもしれない

その度に言われるがままになって勝手に落ち込み、悩むんだ

「ありがとうございます、次はちゃんと話し合いますね。」





兄と弟の差

(立場まで逆転していた)



08 完


(120605)



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