あの空の下でもう1度。 50



「藤・・・?」

握られた手が冷たかった

俯いているけど泣いてる事なんて直ぐに解った

だって、今までに何度も泣いた姿を見てきたんだよ?


「どうしたの・・藤」

「っ・・馬鹿・・・どうして手を離したの?」

「ごめんね、人混み苦手だから怖かったよね?」

そう言って頭を撫でると肩を震わせながら鼻を啜っていた

「もう泣いてるの隠さないで良いよ・・・思いっきり泣いて・・」

頬に手を滑らせ顔を上げさせて涙を指先で掬ってやる

そうすると困った様に眉を下げて口を開いた

「ねぇ・・・っほんとに、こんな我が儘で良い・・の?」

「何度も言ってるでしょ・・我が儘な所も好きって」

「今まで以上に・・我が儘になるかもしれないよ?・・・っ昨日みたいに・・」

その言葉を聞いて何も言わずに唇を重ねた

たったの3秒、だけどそれが凄く長く感じられた

唇が離れた時その倍の時間を掛けて、真っ直ぐに瞳を見つめて言った








「どんと来い」








―俺は君の全てを受け止める

それだけ・・・



「藤にも・・・明兎にも覚悟してもらうよ?・・俺だって我が儘な所あるんだから」


そのまま肩を押してその場に組敷いた

「今日は星が綺麗だったね・・・だけどそんなのどうでも良いくらい俺は明兎の事が好きだよ・・」


―君は今夜空と俺、どちらに視界を奪われているの?

夜空何て言ったらそんなの・・・



「許さないよ」


「・・・普通なら重く感じる言葉なのに・・どうしてだろう・・・東に言われると嬉しいよ」


頬に手が伸びてきてそれに自分の手を重ねる


「東の視界が僕でいっぱいの様に僕の視界も東でいっぱいだよ」


再び唇を重ねたのと略同時に遠くで花火の音が聞こえた

その音が耳に入らないくらい君の事で頭が一杯になって何度も何度も唇を重ねた




――永遠が無いのなら俺が永遠をつくる

例え君が遠くに行ってしまっても俺はいつまでも待つことを誓うよ

合いに行くって約束するよ

もしも君がこの関係に終わりをつけたいと言うのなら、約束を破った事の償いでもう一度関係を戻してもらうよ


手離したくない程に明兎が好きだから・・・。



50 完


あの空の下でもう1度。 中編 完


(120603)



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