あの空の下でもう1度。 48



「例えば片方が我が儘だったり、片方が我慢ばかりしているとお互いに上手くいかなくなり離婚に繋がる事もあり・・」

ある日の家庭科の授業で先生がそう言った

これは今の僕と東に当てはまっていると思った

別に結婚している訳じゃ無いけど付き合っているだけでも同じ様な事が言える


―いつか別れる事になってしまうのだろうか・・



「ふーじ、どうかした?」

「・・・どうもしないよ」

帰路に着いてからも気になって悩んでいるとそれを見透かした様に問われ、笑って誤魔化せば何も疑う事無く東は話を続けた


「明日の祭さ、6時位からで大丈夫?」

「うん」

「楽しみだなぁ」


東が楽しそうにしてるのに自分の気持ちは晴れない・・・


「・・東は僕の我が儘な所嫌じゃないの?」

「嫌じゃないよ、いきなりどうしたの?」

微笑みながら言う東を見るとその事が嘘じゃないっていうのが解り安心できた

「不安になったから・・嫌われたらどうしようって」

「俺は我が儘な所好きだよ、俺だけに言ってくれるから嬉しい」

「ありがとう東」

そう言ってくれるのはきっと東だけで、それが本当に嬉しくて微笑み返した


「藤は?俺の嫌な所無いの?直すよ」

考えてみれば嫌だと感じた事も無かったし嫌な所を考えた事も無かった気がする

だけど・・


「・・・我が儘な事言っても良い?」

「良いよ」

「・・あんまり怒んないで欲しい・・・怖い・・我慢させる事になるけど、東が怒るの嫌」

暫しの沈黙が走る

その間やっぱこんなこと言わなきゃ良かったと後悔する

「それはできないかな・・俺は藤が本気で大事だし好きだから怒るんだよ?」

「・・東のそういう所解んないよ・・・僕が嫌だって言ってるのに止めてくれないんだ?」


今のは今までに無いくらいの我が儘発言だった


今まで東が我慢できていたのはまだ程度が低かったからかもしれない


「ごめんね藤、これだけは譲れない」

困った様に笑う東を見て謝らなきゃと思うのに全く別な事を言ってしまう


「わかった、もういいよ・・また明日ね」


家に着いて逃げる様にして中に入った



また困らせてしまった


こんなことがしたいわけじゃないのに



いつも自分の気持ちを上手に表せない



もう時間が無い。



48 完


(120529)



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