「藤ってお祭り嫌い?」
「うーん・・・人多いから苦手かな・・何で?」
「一緒に行きたいなぁって思って」
藤は暫し難しい顔をすると何か決断したように頷いた
「・・一緒に行く?」
「うん、ありがとう藤大好き」
「外であんまそういうこと言わないで」
そう言いつつ顔がほんのり赤くなっている事は言わないであげよう
「家着いたー」
親に藤との関係を打ち明けてからお互いの家に良く行き来するようになった
「あ・・これ聴きたい」
「ん?いーよ」
部屋に入りその辺に座ると目に入ったCDを藤が取り出した
俺が好きで集めているアーティストのCD
どうやら藤も好きらしく共通な点が見つかり嬉しかった
「これとか結構好きだなぁ・・」
返事が何も返ってこなくて藤の方を見ると曲に集中している様で目を瞑っていた
「・・・この曲さ」
見入っていると藤がこちらを振り向き至近距離で目が合った
「・・この曲が・・・何?」
わざと目も離さず距離もそのままで見つめていると藤の方から目を反らした
「・・・ねぇ藤、この曲の歌詞にあった様に俺が知らない記憶に襲われて藤が泣いた事あったよね・・・」
「・・うん」
「それでも好きって言ってくれて嬉しかった・・・もしこれから先何があっても好きって言ってくれる?ずっと好きでいてくれる?」
こんなの重いって解ってる
だけどそれだけ藤が好きなんだよ・・・
「前にも言ったけど・・・東が僕を好きでいてくれる限り好きでいるよ」
「・・本当に?」
「信じられないなら何度聞いたっていい・・・僕は絶対に東を嫌いにならない」
手を握って抱き締めると暖かくて何もかも信じられた
「好きだよ藤・・大好き・・・」
それを表す様に何度も唇を重ねた
「ん・・名前・・・呼んで」
「明兎」
恥ずかしそうに伏せられた瞳は俺の欲を生み出すのには十分過ぎて自分のだという証を首にいくつも付けた。
47 完
(120515)
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