雨の為中止になった体育大会の続きをした
それで東の運動神経の良さを知った
かっこよかった何て恥ずかしいから言ってあげないけどね
「先生に呼ばれたんだけどさ、時間掛かりそうだから先帰ってて良いよ」
「うんん・・・待ってる」
放課後
先生の場所へ行った東を静かな教室で待った
窓から見える夕焼けが綺麗でこの時期独特の色をしている
暫し見とれていると教室の扉が開き東かと思いそちらを見ると違う人物で逃げたい衝動にかられた
「待って、何もしないから逃げないで」
そこに居たのは田中だった
だけどいつも感じる恐怖心が少し薄く雰囲気が違う気がした
「あのさ・・・」
田中が僕の前の席をこちらに向けて座ると俯きながら話始めた
「今までごめんな」
予想外の言葉に頭が付いていかない
いつもと雰囲気が違うのはこの所為なのかな・・
「俺さ・・好きな奴に優しくできないんだよ・・・どんな手を使っても自分の物にしたくてあんな酷い事した・・・ほんとごめん」
「・・・うん・・けど、どうしていきなり?」
「・・他に好きな人できたから」
それを聞いて今までの事を恨む訳では無く応援してあげたいという気持ちになった
「そっか、その人には酷い事したら駄目だよ?・・・田中本当はいい人なんだろうし」
本当に酷い人なら謝ったりして来ない
「・・・今までの事許してくれんの?」
「・・東を巻き込んだ事は許さないけど他はもう気にしないで」
「藤原ってほんと良い奴だよな」
そう言って立ち上がると田中は最後に好きな人を教えてくれた
それを聞いてもう一度酷い事をしないように言い掛けた
「酷い事したら許さないよ」
「おう・・ありがとな」
教室から去っていく後ろ姿を見送って再び窓の外へと視線を移すと先程とは違う色に染まっていた
「―藤!」
扉が勢い良く開いてそちらを見ると待っていて人物にやっと会うことができた
「東・・・どうしたの?」
どうやら走ってきた様で少し呼吸が荒れていた
「焦った・・途中で田中に会ったから・・・っまた何かされてたらどうしようと思った」
東の側まで行き抱き着いた
それに答える様に抱き締め返してくれた
「田中好きな人できたって・・もう何もしてこないよ」
「良かった・・・けど散々あんな事しといて少し勝手じゃない?」
「・・・許してあげて」
東は暫く悩んだ後「藤がそう言うなら」と言って納得してくれた
「東・・・今日かっこよかった」
「藤の為に頑張ったもん」
言わない筈でいた言葉
だけど東は凄く嬉しそうな顔をしてくれたから言って良かった・・・
色が変わった空に見守られる様に重ねた唇
暗くなるにつれてふたりの体温も上がっていった。
46 完
(120514)
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