あの空の下でもう1度。 37



ベッドに押し倒して唇を食む様にキスをしている時突然思い出した疑問に行為を中断させた


「あのさ」

「ん・・・何?」


浮かんだ疑問とは藤の親が言っていた「これも予想正解ね」と言う言葉だ

これもとはどういう事なのか尋ねると行為を突然中断した所為か藤は少し不機嫌そうに口を開いた


「付き合ってる人がいるのもそれが男だって事もお母さんは何と無く気付いてたみたい」

「へー・・・どうして解ったのかな?」

「何か雰囲気って言うか・・・良く解んないけど恋人がいるみたいに幸せそうだったんだって・・・それから」

「ん?」


「普段僕がしない様な事したんだって・・例えばご飯ちゃんと食べたり自分の想いちゃんと伝えたり・・・そういうの東のお陰だから」

自分の想いを伝えたと言うのはリストカットしてしまい親にバレた時の事だろうか

俺はただアドバイスの様な物をしただけでほんとに頑張ったのは藤だ

それなのに俺のお陰と言ってくれるのがすごく嬉しくて強く抱き締めた

「藤のお母さんは藤の事しっかり見てて微かな変化にも気が付いて・・・良いお母さんだね」

「東のお母さんもね」

親を誉められるのは何だかむず痒くてお互いぎこちなく破顔した


「続きしよっか」






ーーーーーーーー・・・




「んっ・・・ぁ、」

「・・ちゅ・・・っ」

深いキスを何度も繰り返してるうちに苦しくなったのか肩を押され唇を離した

「・・キスばっか、やだ・・・」

「キス嫌い?」

「嫌いじゃないけど・・・」

もっと先に進みたいなんてことは解ってる

けど藤の口から聞きたくて解らないふりをするとそれに気が付いたのか顔を背けられてしまう

「もういい・・寝る」

「えー・・・」

「また今度ね」

そう言ってまだ9時だと言うのに本当に目を閉じる物だからどうしようか迷った

藤は1度決めたらそれを中々変えない


「あ・・、お風呂入りなよ」

「あー・・・うん」

ダルそうに目を開けて身体を起こす藤

「服用意しとくから入ってて良いよ」


何も疑う様子無く部屋を出た姿に若干罪悪感を感じつつ服を用意して自分も風呂場へと向かった。



37 完


(120423)



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