あの空の下でもう1度。 32



足に力が入らない

理由は多分ストレスだ


昨日東が次はどんな事をされてしまうのか不安で怖くて中々寝付けなかった


―僕よりも東の方が怖いはずなのに・・・

それほど僕の精神は弱いのだろうか



「明兎起きてる?」


中々起きてこない事を心配したのかお母さんが部屋へやって来た


どうしよう・・・


「・・少し体調悪くて・・・学校には遅れて行くって言っといてもらって良い?」


ただでさえレベルの高い大学を目指してるんだ

これ以上休んでいられない


お母さんが部屋から出たのを確認してもう一度立ち上がろうと試みる

だけど全然駄目


「焦っちゃ駄目だよね・・」

少しでも心を落ち着かせようと目を瞑り何も考えない様にした





--------・・・


携帯の着信音で目が覚めた

どうやらいつの間にか寝ていたらしい


徐々に意識がはっきりしてくるとこの着信音が電話であることを思い出し慌てて電話に出た


「・・もしもし・・・東?」

「「うん、寝てた?」」

そのことを肯定すると誤ってくるに違いないと思い大丈夫だと言うと良かったと帰ってきた

「「体調大丈夫?」」

「ん・・・平気だよ」

「「無理しないでね・・・けど藤が学校くるの待ってる」」

「うん・・・」

「「それじゃあね」」

「あ・・・」


―弱くてごめん

力になれなくてごめん

けど何でも言ってほしい・・・

そう言いたいのに言葉が出ない


「「・・どうかした?」」

「・・・何でもない、また後でね」


そう言って電話を切る

以外にも元気そうな東にほっとした

東の声を聞いて心の重りが取れた様に安心し、試しに足に力を入れて見ると簡単に立ち上がる事ができた


「すごいなぁ・・・」

こんな風に安心させられる様になりたい

けど僕には無理だ


「・・どうしたら力になれる?」



その言葉は静かな部屋に消えていき返事が帰ってくる事は無かった。



32 完


(120406)



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