朝目が覚めると身体がだるくて起き上がることが出来なかった
すると東は心配してくれたのか気まずいながらも声を掛けてくれた
「どうかした?」
「・・ちょっと具合悪い・・・かも」
「大丈夫?体温計借りて来ようか?」
「うん、お願い・・」
東は小走りで部屋を出ると部屋の中に少しの間沈黙が流れ威瑠くんが口を開いた
「あの・・・」
「ん?」
「昨日はごめんね」
やっぱり気にしてるんだ・・
「全然平気だよ、気にしないで」
にこっと笑って言う
今の笑顔は少なくとも偽物だとバレてないはず
「昨日何であんなことしたのかわからなくて・・俺以外にこういう経験ある人いるかもって思って調べたけどわからなくて・・・でも藤原のこと恋愛対象では無いと思うから安心してよ」
「うん・・わかった」
そしてふたりの間に再び沈黙が流れ、暫くすると東が戻ってきた
「はい、体温計」
「ありがと」
「先生が来るから計って待っててだって」
東はすごいな
何にも無かったかの様に話せるんだ
これじゃあ今の状況を悪くしてるのは僕だ
ごめん東・・・
熱を計り終わる頃には先生がやって来て温度を見てもらった
「37度8分・・とりあえず今日はゆっくり休んで、これからまた上がるようなら明日は病院」
「はい・・」
「それじゃあ佐々木くんと東くんはそろそろ時間だから集合場所に行ってね」
「はーい」
集合場所といえば朝食会場か
これから皆朝ごはんなんだ
僕はあまり食べたくなかったから調度良い
「藤原くんは?朝ごはん、お粥でも食べる?」
「や、良いです」
「でも何か食べないと・・」
「ほんと何も食べれそうに無いんで・・・」
暫くそういうやり取りをしていると、やはり何も食べないで薬を飲むのは良くないと言うことで風邪薬の他に胃薬をくれた
「それじゃあゆっくり休んで下さいね」
パタンと扉が締まると静寂の中にひとりということに何だが落ち着けた
この熱はきっと精神的な物だ
いままでこういう事が何度かあったから解る
「・・・」
静かだから目を閉じると余計に色んな事を考えてしまう
このまま卒業してしまうのかとか
僕自身どうしたいのかとか
とにかく色んな事
でもその考えの中に必ず居るのは東で
結局は東が好きということしかわからなかった
好き
愛してる
そんなの解りきっている事なのに心は中々それを受け入れない
簡単に受け入れられればいいのにって思うけど果たして受け入れてしまって良いのか
今後の事を考えるとどうしても自分をコントロールできなくなる
だから今こんな事になっているんだ
もう自分の気持ちを整理できないよ
僕はこれから上手くやってける自信が無いよ
だから終わりにしよう
いつかこの関係にも終わりは来る
それが少し早まっただけ
そう思えば全然・・・
好きだよ東
だからこそこの思いに鍵を閉める
―大好きでした
さようなら・・・。
24 完
(120318)
戻る