あの空の下でもう1度。 21



朝から東と藤原の様子が可笑しい

ぎくしゃくしてるっていうかお互いあまり話さない様にしてる感じ



せっかく楽しい思い出作りなのに、まったく・・

何があったのやら



「絶叫系多いよね」

今日の班行動は遊園地

明日からは違う班になりやっと嫌いな奴・・山下と離れられる



「藤原乗らんの?」

「高いとこ苦手で・・」


「えー大丈夫だって、楽しいよきっと!」


嫌がってんだから止せば良いのに山下はいっつも強引だ

そういう人の事考えない所ほんと嫌い



藤原は断っても無理矢理連れてから結局乗っていた

東も止めれば良いのに・・・


「藤原大丈夫?そんなに高いとこ駄目なの?」


乗り物から降りた藤原は手を震わせていた


高所恐怖症なのかな?



「んーじゃあお化け屋敷とか!」


また山下は勝手に・・


「ごめん・・お化け屋敷とかも無理なんだ・・・僕は見てるから好きなの乗ってきなよ」

「何それーつまんないじゃん、大丈夫だって、」


「・・やだっつってんだから無理に連れてくこと無いじゃん」


あーあ、遂に口を挟んでしまった

できることなら山下と口を利きたくなかった


「だってさー何にも乗らないでさ、それって来た意味あんの?つまんないじゃん・・昨日からろくに何処も行けないでさ、そんなんなら来なきゃ良かったんじゃない?」

「ちょっと、」

山下はかなり酷いことを言った

それは無いんじゃないかと言い返そうとした時、藤原が口を開いた


「そうだよね、ほんと来なきゃ良かったんだけどさ、思い出作りたかったから・・皆が楽しそうなの見てるだけで思い出にはなるから良いんだ、昨日から迷惑掛けてごめんね」


そうやって言う藤原は笑ってた

何で酷いこと言われたのに笑って言えるんだ・・俺なら絶対キレる


そんな事を思うと怒りが溜まってきて気が付けば怒鳴っていた


「山下いい加減にしろよ!言って良い事と悪い事あんだろ、そんなのも解んないの!?」


「は?佐々木なんかに言われたく無いんだけど」

それについてまた言葉を出そうとした時東に止められた

「威瑠、他の人の迷惑になるから」


何で俺だけに・・


「・・・俺別行動とるわ、山下といると吐き気がする」

「ひとりじゃダメだって、」



「じゃあ藤原連れてく」


そう言って藤原の腕を引っ張り東が止めるのも聞かず早足にその場から立ち去り人気の無い場所まで来た



「あ、の・・佐々・・・威瑠くん」

「・・何?」

「腕・・怪我してて痛いから離してもらって良い?」


「え、ごめん」


ぱっと腕を離すと自然に足も止まり藤原は近くにあった椅子に座ったので俺も隣に座った


「ごめんね・・せっかくの修学旅行なのに」

「別に・・・どうせ喧嘩してただろうし気にしないで」


「ほんと、僕は修学旅行に向いてないなぁ」


意味が良く分からずどういう事かと聞いた


「行った事無いんだよね・・修学旅行・・・団体行動とか苦手だし体力無いから長い間歩いてられないし・・・今回も来ないつもりだったんだけど東が一緒に行きたいって言うから」

「そっか・・」


「でも・・ほんと来なきゃ良かった」


藤原の方を見ると苦笑いしながら目に涙を浮かべていた


「どうして東と上手く付き合っていけないんだろ」


堪えていたのだろうけどとうとう涙を流した


綺麗に泣くんだ・・



頬に手を伸ばし涙を拭き取ってやる


「ご、めん・・泣くつもりじゃ・・・!」


自分でも無意識だったんだと思う

気が付けば唇が数秒触れていて・・


「え・・・?」

「あ・・・」


お互い何が起こったのか解らずただ呆然としていると後ろからかけられた声に意識が引き戻される


「なにしてるの・・?」

「東・・・」


振り向くと東の姿があり身体から血の気が引いていった








キスした所見られた・・・?















どうしよう。



21 完


(120315)



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