あの空の下でもう1度。 02



「あの転校生・・前言ってた人・・・で」

「前って・・・その、藤に痕付けた人?」


「・・うん」


東は凄く驚いた顔をした


当たり前だ

僕だって驚いた


「自分で過呼吸か喘息かを判断できなかった」

「それほど・・・辛い思い出だったんだね」


東は立ち上がると僕に手を差し出し立ち上がらせてくれた


「東・・・ズボンに」

「ん?大丈夫だって、気にしないで」


そうは言ってもやっぱり悪い気がしてトイレットペーパーで僕が吐いた物を拭き取った


「クリーニング出さなきゃいけないね・・・」

「家で洗えるよ」


「ごめんね・・」


「もう・・・気にしないでよ」



東は気遣ってばっかり

僕には気遣わないでって言うくせに



「戻ろっか」


東はそう言うと僕の頭を撫でて先に個室を出た



「・・東やっぱ無理、恐い」


教室の近くまで来て引き止めた


「だよね・・保健室行く?」

「でも・・・」


「顔色悪い」


そっと頬に触れる手


その手を握る


「・・授業終わったら来て」


今は授業中

恐いからと言ってずっと近くに居てもらう訳にはいかない


「うん」


手を握り返してくれたことに安心してだいぶ心が落ち着いた



「保健室まで一緒に行くよ」

「ありがと」



僕の手を引いて少し前を歩く東


その姿を見てるだけで僕がどれ程救われているかなんて東は知らない。



02 完


(120209)



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