「あの、ここって・・・」


「ラブホ」


雨宿りのためって知ってるけど何だか・・・ちょっと


「安心してよ」


何に安心してなのか



“そういうことしないから安心して”


なのか


“女の子に見えるから安心して”


それとも


両方なのか・・・




部屋に入ってからももやもやは晴れなかった


「どうかした?」


「あ、いえ」


「風呂入る?」


ただもやもやを確かめたかった


俺は雨で濡れた体でベッドに座る


彼の名前を呼ぶ


彼が近づく


彼に抱きつく


彼は驚く



「ゆ、うと」


「・・抱いてよ」


肩に顔を埋めて呟く


押し倒されてそっとキスされた


女の子を扱うときみたいに・・・





ーードクッ





俺今女の格好じゃん



もやもやの原因はこれじゃん



やだな





嫌だ




こんな姿でしたくない






女の姿なんて・・





ギュッと目を瞑る



思いが伝わったかのように慎吾さんは動きを止めて俺を起き上がらせる



髪に触れられたと思ったらウィッグを外す感じがした


「っ・・・」


頬に触れられて唇のグロスを落とすように舐められる


目があった時には慎吾さんは微笑んでいた


「やっぱこっちの勇人の方が好き」


手を握られる


「俺はそのままの勇人が好きだよ」


心臓が脈打つ


俺の思いは慎吾さんに気付かれていた


俺が自分で気が付くよりも早く


「女がいいとか思ってないからね、手が繋げなくても勇人が好きだよ・・・言うの遅くてごめんね?」


涙が出そうになった

そんな顔を見られないように俯くかわりに頷いた


「ね、このまましてもいい?何もしないって言ったけどやっぱ無理・・・その前にお風呂入る?風邪引いちゃう」

「いい・・・このままして」



身を任せると再びキスされる


さっきとは全然違う気持ち







通じ会えたから








俺のもやもやを無くしてくれたから




だから今こんな気持ちでいられる


慎吾さんを好きでよかった


こんな気持ちにさせてくれるのはきっと慎吾さんだけだ



慎吾さんだからこそだ



好き




大好き





声には出せないけど伝わってるよね・・・?




その証拠に君がそっと微笑んだ。



*続く*



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