バレてないかすごく不安だった


ふたつの意味でどきどきが止まらなかった


「手冷たいね」


手を繋いでいることにドキドキしていた



何処の乙女だよって自分で言いたくなった



自分の顔が赤いのがバレないように下を向いて歩いた


そんなとき



「あれ慎吾じゃない?」



後ろから聞こえた声


見覚えのある顔


確か桐青の人

慎吾さんと同じ野球部だった・・・



ーードクン



ばれる


「おー久しぶり」


「・・あれ?」


体が勝手に慎吾さんの後ろに隠れる


「慎吾浮気してんの?」

「は?」


「栄口くんみたいな良い子がいるくせにー」


「これ栄口なんだけど・・・」


その人は驚いたような顔をしていた


どうやらばれていなかったらしい


「なに慎吾、女装させる趣味なんてあったの?」

「ちげーよ・・・俺の誕生日だから」

「は?へぇ」


多分相手にしてみれば意味がわからなかったのだろう


「じゃ、またね」


「おう」


お別れをしてから少し歩いた

ベンチが見えると慎吾さんは立ち止まって座ったので俺も隣に座る


「安心した?」

「へ?」

「勇人ばれてないかずっと不安そうだったじゃない」


気づかれてたんだ・・



「よかったね、ちゃんと女の子に見えるって」



ーーズキッ



何故か心が傷んだ



俺は・・・







この姿が嫌いだから









ちゃんと男として見てほしいから



そんな曇った俺の心を表すように雨が降りだした



「あらら、どうしよっか・・・傘も雨宿り出来る場所も無い」


辺りを見渡す


慎吾さんは何かを見つけたように俺の手を引く


「あのっ」


「ちょっと歩くけど他無いし風邪引いても困るし、家帰るよりは近いから」


「どこに・・・?」


「あー大丈夫、そういうとこだけどそういうことしないから」



答えになってない




そういうとこってどういうとこ?




*続く*



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