あの空の下でもう1度。 32



突然の出来事に涙が吹き飛んで急いで起き上がる


「東?」


呼吸の仕方がある症状に似ている


「東聞いて、息が吸えてない感じがするなら右手、息が吐けない感じがするなら左手あげて」


東は苦しそうに呼吸しながら右手を上げた


「過呼吸だね、大丈夫だよ、安心して」

そう言いながら背中を擦る


「落ち着いて、手で器作るようにして口に宛てて」


なるべく落ち着いた声でそう言うと暫くして呼吸が収まった



安心して溜め息がでる

それと一緒に涙まで出た


「藤ありがとう・・・泣いてるの?」


「喘息だったらどうしようと思った」


また困らせてはいけないと思い涙を拭く


「過呼吸は絶対大丈夫だけど喘息って死ぬ可能性有るじゃん・・」


「藤は自分が喘息出たとき平気とか言ってたくせに・・・俺の場合は心配して、もっと自分の事も心配しなよ」


「僕は東の事・・大切だと思ってるんだ・・・」


そう言うと東は僕の事をぎゅっと抱き締めて頭を撫でた


「ありがとう・・・でもどうして喘息か過呼吸かの見分け方知ってるの?」


「僕は・・喘息と過呼吸両方持ってるから」


「大変だね・・・でも藤が対処法知ってて良かった」


にっこり微笑む東に心が痛む


「ついでに言うと東が過呼吸になったのは僕の所為なんだ・・」


「え・・・?」


「過呼吸は強いストレスや不安から起こるんだ・・・だから僕の所為だ」


今までたくさんストレスを与えてきた


東の事を何度も突き放したり酷いことをたくさん言った

今日の事を振り返ると相当酷い


また涙が込み上げるがぐっと堪え、顔を見られないように下を向く


「僕と居ない方がいんじゃないかな・・」


声が震える

堪えた涙が大粒の滴となって下に落ちる






「俺の方がたくさんストレス与えてるよ」

「そんなこと、」

「しつこく付きまとって無理矢理色んな事して、トラウマほじくり返したあげくあんな事して・・藤が発作起こしてもおかしくなかった・・・ごめんね」

「僕は実際起こってないし・・・起こったのは東じゃん」


今まで過呼吸になったことの無い人を過呼吸にしてしまった事が辛い


少なくとも東は僕に出会うまで充実していただろうに



「独占したいなんて本当は喜ばしい事なんだ・・僕だって独占したい・・何で泣いたのか解らない」


「俺は何となく解るよ・・悲しかったよね・・・」


言葉の意味が分からず静かな空気が流れる中

東は僕を抱き締めたまま、倒れ込むようにしてベッドに身を預けた。



32 完


(120114)



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