あの空の下でもう1度。 16



ガンッと大きな音がして我に還った


慌てて唇を離して藤を見るとぶつけたのか手を押さえていた


「っ・・・」

「だ、いじょうぶ?」


謝ろうとした時、荒れた服の隙間・・・胸元から見えた点々とした痕に目がいった



「何・・これ」


襟を捲ると藤は慌てた様に俺の腕を掴んだ


「見な、いで・・・っ」



俺は気になると何か解るまで聞くタイプなので引き下がれなかった


「ねぇ・・・何?」

「・・・」

「言ってよ」


襟を掴む手に力が籠る


「藤・・・!」

「わかっ・・たから、離して・・・」


襟を掴んでいた手を離すと藤がまた泣いている事に気が付いた


「僕、は他の・・・人とは違うの」


声が震えていた


「昔から・・・同性、が好きなの・・っ」


その衝撃的な言葉は小さな声で言っているのにも関わらずちゃんと俺の耳まで届いた



「も、う・・・女性とはできない身体だよ」


完全に思考が停まった


「っここまで言えばわかるだろ!?」


怒鳴る声にはっとして再び思考を再開させた


つまり藤は男とやったことがあるということ・・・?



そしてその痕はそいつに付けられた物ってこと?



「・・藤、」

「もう帰って・・!」


藤は俺の事を押し飛ばすと2階に逃げていった


少ししてバンっと戸が閉まる音がした



「何・・やってんだ・・・俺」


ひとり残された場所でさっきまでの自分の行動を思い出してもうどうして良いか解らなくなった。



16 完


(120107)



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