「何でそんなこと言うの?悲しそうな顔してるのに」
「・・・」
「悲しそうな顔を見たくない」
「だったらそっとしといてよ」
ズボンを握り手に拳を造る
出そうになる言葉を必死に押さえようとするけれど押さえが利かない
「東と遊んだ時の夢見ちゃうんだよ」
「え?」
「東は全然覚えてない事なのに見ちゃうのが嫌なんだよ・・っ」
涙が溜まってきた
体調が悪い所為かいつもより我慢ができなかった
「何、で僕ばっかり思い出さなきゃいけないのっ?何度も忘れようとしたのに・・・もう辛いよ、っ」
涙が床に落ちる
視界が歪んで東の顔は見えなかったけれどきっと困ってると思った
だけど東はいきなり僕の腕を引っ張った
「な・・・っ!」
驚いた次の瞬間唇に感触があった
「やめっ、」
逃げようと後ろに下がると横にあった壁に押し付けられ逃げられない状態をつくられた
「ん・・っ・・・、」
深くなっていくキスに血の気が引いてずるずると滑るようにして床に座る状態になる
東もそれを追いかける様に膝を床に付いた
手首をぐっと捕まれ壁に押し付けられた瞬間だった
--ドクン
自分でも解るぐらい動揺した
そして自分にこんな力があったんだと思うぐらい強く手を振りほどいた。
15 完
(120107)
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