「あきと飴食べる?」
「いいの?」
「うん、目瞑って?」
「?うん」
--チュ
「!!」
「甘いでしょ?」
「う、ん・・」
「それじゃ、また明日ね」
-----・・・
「っ・・・!」
目を覚ますといつもの天井が目に入った
「はぁ・・・、」
また幼い頃の夢
丸まって頭を抱えた
「っ・・う・・・嫌だ・・・もう見た、くない・・」
涙がぼろぼろと出た
1度溢れだした涙は中々停まってくれない
--ガチャ
「―!」
「明兎・・・?どうしたの?具合悪い?」
部屋に入ってきた母親が布団を剥がそうとした
「ちょっ・・待って、」
阻止させようとしたがもう遅くて簡単に剥がされてしまった
「泣いてたの?・・・吐きそう?顔色悪いし、大丈夫?」
背中を優しく擦る母親に何だか凄く安心して涙が引っ込んだ
「とりあえず今日は休んだら?」
その言葉に何も言わずに頷く
--東に会わないで済む
天井を眺めていたら連絡をしたらしい母親が戻ってきて朝ごはんを食べるように言われた
「お母さんもうそろそろ家出るからね」
「うん」
「ご飯食べたら薬飲んでね」
「うん」
僕の箸が動いてないのを見て僕が幼かった時の様な事を言った
「野菜だけじゃなくてお肉も食べてね」
「・・・」
「それじゃ行ってきます」
母親が家を出た後暫く2つの選択肢と戦った
普段朝から肉とかあまり出さないのに
最近痩せたのに気が付いたのか朝から肉を出すことが多くなった
「食べてと言われてもなぁ・・・」
暫く考えた結果
体調が悪い所為もありやっぱり食べなかった
そのためまだ箸をつけていないそれにラップをかけて冷蔵庫に締まった
「ごめんね・・お母さん・・・」
相手に届くはずの無い言葉を冷蔵庫へ呟き部屋に戻った
元々あまり食べなかったがここまで食べなかったのは初めてだった
寝転がって天井に向かって手を伸ばす
「細・・・」
鏡で見なくても解るぐらい細くなっていた
「細くて気持ち悪い」
もう見るのが嫌になって布団にくるまって目を瞑った。
12 完
(120107)
戻る