あの空の下でもう1度。 08



「アルバム・・?」


自分の部屋を片付けている時

昔のアルバムを見つけた


「うわぁ・・・懐かしい」



懐かしいはずなのにあまり記憶に残っていなかった


「これ小1の・・かな」


何だか小2以前の事をあまり覚えていない

というより全く覚えてない


覚えてるのは引っ越してしまった子のことだけ



「この子だっけ」


一緒に写ってる写真を1枚取り出す


そしてそれを持って母さんがいる1階に降りていった



「あのさ、俺小2以前の記憶無いんだけど」


いきなりの言葉に母さんは驚いた様な顔をした


だけど少ししてから普通の顔に戻った



「そうね・・・もう高3になるから言っておかないとね」


母さんは読んでいた雑誌を閉じて俺に隣に来るように言った


「由宇はね・・1度記憶喪失になってるの」


「え・・・?」


「記憶喪失って言っても軽いもので家族やクラスの人の名前、物の名前はちゃんと覚えてるの」


そこまで言うと母さんは1度深呼吸をした



「でもね、昔の記憶が無くて・・・もうずっと会ってなかった人や大切な記憶が残って無いの・・・だから由宇には小2以前の記憶が無いの」


「そっ、か・・・」


何だか信じられなかった


今まで普通に生きてきたのに1度記憶を失っていたなんて


「あのさ、この子の名前覚えてない?」


そう言って先程の写真を見せる


「あら、あきとくんじゃないの・・今どうしてるのかしらね」


「・・・」





やっぱり



あの子は明兎だったんだ

そして明兎はあの子だったんだ



明兎と遊んだのはきっと小1の時なのに


何で覚えているんだろう



それほど・・・




それほど俺にとって大切な思い出だったのかもしれない。



08 完


(120106)



戻る


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -