「じゃあね、あきと!また明日!」
「あ、あの・・」
「どうしたの?」
「あのね、僕ね、明日引っ越しちゃうんだ」
「え?」
「だから明日はもう遊べないと思う」
「・・あきと」
泣いている僕の頭を撫でて明日見送りするねと彼は約束をした
次の日彼は約束通り見送りに来てくれた
「これ、あきとにあげる」
「これ・・大事なんじゃないの?」
「大事だからあげるんだよ、また会えるように」
そう行って手に握らせてくれたのは猫の形をした銀色のストラップだった
「絶対だよ・・絶対また会えるよね?・・・ゆうちゃん」
「うん、絶対」
「やだよ・・会えなくなくなるの」
「絶対会えるから、大丈夫」
ストラップを握った手を包む温もり
強く握るその手は涙を堪えているようだった
「あきとは泣き虫だな」
----・・・
幼い頃の夢
目を覚ますと涙がボロボロと流れていた
「ゆうちゃんって・・・東?」
涙を拭いて眼鏡をかける
起き上がって机の1番上の引き出しを開ける
ずっと捨てられずにいたストラップ
猫の形のストラップ
「・・・」
そのストラップをハンガーにかかっている制服のポケットに入れて学校に行く支度を始めた。
05 完
(120106)
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