タイトル:僕たちの恋は始まりに過
     ぎなくて。
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「あ、あれ?佐藤さんと付き合ってるって聞いたんだけど・・・そっか」

「どっちも違います!」


誰かが誤解を招きあっという間に広まった噂は先生の耳まで入っていたらしい



先生は知っているくせに


俺が誰を好きなのかなんて

言わなくても貴方なら解るはずでしょう



お互いの想いは通じたんじゃ無かったのですか?



そう思っていたのは俺だけだったんですか・・・?

















「・・・ばか」
















生徒会が終わった後学級委員の仕事があることを思い出した俺は教室でその仕事を片すことにした


暫くひとりでそうしていると教室の扉が開く音がした



「まだ残ってたの?・・塚原くん」


「東先生・・・」


「もう外暗いよ」


その言葉に窓の外を見ればいつの間にか暗くなっていた


「気が付きませんでした、すみません」


「・・・あまり無理しちゃ駄目だよ」


「・・・はい」


何が無理しちゃ駄目だよ、なんだ

無理なんかしてない


先生は俺のこと何も解っちゃいない


「それじゃあ帰ります」


「あ、待って」


荷物をさっと積めた鞄を持ち上げるとまるでその言葉が聞こえなかったかのように教室を出た




「塚原くん!」



止めて



「ねぇってば」



追って来ないで



「・・・要くん」



不意に呼ばれた名前に足が停まる



その間にこちらに近づいてくる足音


逃げようとした時にはもう遅く腕を捕まれ引っ張られた


力の方を向きかけたが俺は意地でも向かなかった



「・・怒ってるの?」


「・・・離してください」

「離さないよ」



―ドキッ



「質問に答えてよ」



心臓の音がうるさい



「ねぇ」


「っ・・怒ってますよ・・・!」


「どうして、」

「逆に聞きますけど先生は俺の気持ち知ってますか」


「え?」


「俺達付き合ってるんですか・・?」


消え入りそうな声でそう言ったら涙が出そうになった


視界がぼやけて只々床を見つめていることしかできなかった



「要くんさ、俺のこと大人だと思ってない?」


言った言葉の意味が解らなくて頭にはてなが浮かんだ


「全然大人なんかじゃないよ・・・不安なんだ」


後ろから抱き寄せられて身体が強張った



「要くんが好きなのは俺でしょう?噂だって解っててももし本当だったらって不安になるよ」


「せんせ・・」


耳元で話す先生に顔が熱くなる


「妬きもちだって妬いたよ」


首元にある腕をぎゅっと掴むと先生が俺を抱き締める力が強くなった気がした



「要くんが今付き合ってるのは俺でしょ、違うの?」


「ちがく、ない・・です」


そう言うと先生が俺の顔を持ち上げる


目がばちっと合うとゆっくり近づいてくる顔


唇がそっと触れると眼鏡がぶつかりカシャッと音だけが静かな廊下に響いた


「っ・・・」


「顔、真っ赤」


「うる、さい・・」


再び下を向けば緩まったはずの俺を抱く腕の力がまた強くなった








「好きだよ・・・要くん」







あぁ、どうやら不安だったのは俺だけでは無かったようだ


先生はちゃんと俺のことを解っていた


そのことに不安が解き放たれ涙はぼろぼろと床に落ちた


それに気が付いた先生は苦笑いをして『泣かないでよ、俺まで泣いちゃう』と言って俺の首元に顔を埋めた


暗い静かな廊下


ふたりだけの世界にいるみたいでなんだか不思議と笑顔が零れた



涙は悲しいときにでるものではない

嬉しいときだってでるんだ



「先生・・・東先生・・好きです」



こんなの俺じゃないみたい


だけど今日だけ特別


それはふたりの想いが深まったから。



end

(111224)


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あとがき

初の晃要
イブに書いたのにイブ要素が何ひとつありません

タイトルの意味がよくわからないです
付き合いたてだからうまくいかないというふうに解釈して頂ければと・・・

そして終わりもまとまらずぐだぐだ長い文となってしまいました

申し訳ないですorz

次はもっと上手く書けるように頑張ります!


終わり



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