疑惑
「……それで、店長。どの辺りが相馬さんと同じなんです…?」
「ん?分からんのか?」
小鳥遊がした質問は杏子がさも分かるのが当たり前のように返され、あっさり玉砕した。
「すみません。千葉さん、相馬さん、ちょっとそこに並んで貰えますか?」
「?」
小鳥遊は改めて並んだ二人を上から下まで見てみるが特にこれと言って似たような点がない。
「うーん……見た感じも特に似ているところはありませんし、雰囲気も似てませんよね……」
確かに、相馬は若干へらへらとした空気が漂っているが、一喜はというと佐藤に近いような感じがある。
…佐藤より更に取っつきにくそうな雰囲気が。
「うーん…分からないね…」
「悩む先輩可愛い…!」
「かたなし君!杏子さんが言うんだからきっとすごい共通点があるんだよ!真剣に探さなくちゃ!」
「そうですかね…?」
どうせ店長のことだからかなりどうでもいいことなんじゃないんだろうか?と小鳥遊は段々心配になってくる。ここの店長ならばそれが有り得るのだ。
「うーん……あ」
「かたなし君、分かったの!?」
「ひょっとして……」
「ん?分かったか?」
小鳥遊はもし本当にそうだとすれば嫌だと頭の隅で思いながら予想を口にした。
「……ドS、とかですか…?」
「………………………あー」
無駄に長い間を挟んだ後、予想外の正解が出てきてしまった時のような言葉をもらす。
どうやら杏子が用意していた正解ではないようだが、杏子は顎をさすりながら少しの間考え込み、やがて顔を上げた。
「……………まぁ、それもそうだな」
それ以外にもあんのか!?
小鳥遊の体中を悪寒が走った。
20100617
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