スタッフたちが噂をたてる中、そこに店長の白藤杏子が入ってきた。隣には見知らぬ人が立っている。あの人が新しい人なんだろうかと一同は思う。
「みんないるか?八千代はー…まあいいか。今日からキッチンに入る奴だ」
「!!」
「千葉一喜です。よろしくお願いします」
少し適当さを感じるような軽い会釈をすると新しいキッチン担当、千葉一喜(女)は頬を人差し指でかいた。
「まあ、こういうふうにちょっと愛想は良くないかもしれんがな。別に悪い奴じゃない。佐藤と相馬は知ってると思うが、それもこれも先日キッチンが一人辞めたからな、ちょっと回りが悪くなったんで自分の伝で思い当たる奴がいたもんだからな、入れた」
「嘘つけ、どうせ自分のメシ作る人間が欲しくなったんだろ」
「そうとも言う」
「むしろそっちがメインだろ!」
もはや誤魔化す気もない杏子と佐藤のコントのようなやりとりを隣で一喜はパチパチとまばたきをしながら見ていたが、それも最初の一瞬だけだった。
「みんな、仲良くするようにな」
「先輩、小学校の転校生ですか、それ」
店長の"便利な後輩"…!?
一同は身震いをした。
20100531
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