いつも隣で鍋をかき混ぜていようと、フライパンで炒めていようと必ず人と人に距離はある。
でもさ、休日にゆっくりしてると案外その差はなくなったりするんだよね。
朝から自宅を訪れた佐藤を居間に通し、コーヒーの入った二人分のマグカップを持ってきた。
「はい、佐藤」
「お、サンキュ」
座っていた佐藤にマグカップを一つ渡すと、一喜は佐藤の隣ではなく後ろに回った。
「?」
「たまには背中合わせってのもいいでしょ?」
佐藤の背中にもたれかかった一喜がコーヒーを一口すすりながら言う。
背中がじんわりと暖かい。
いつもとはちょっと違うシチュエーションにちょっと照れる。
背中ぴったり、距離0cm。
「一喜」
「ん?」
名前を呼ばれ振り向きざまに柔らかいキスなんておとされたら
もっと
距離0cm
20100602
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