※Caution!R18!!
「―――…お、意外と」
「…ん、きれいだな」
「な」
やけにでかいソファに適当に荷物と上着を放り出すと、おれは借りてきた猫みたいになっちまってるルフィを横目でちらりと眺めた。
正直、予想外だった。
ガラス張りで中が丸見え(しかも多分マジックミラーで中は鏡張りっぽい)のシャワールームとか、それこそやけにでかいベッドとか。興味津々ではしゃぎ回りそうだな、とか、ベッドに思いっきりダイブ、とか勝手に想像してたのとは違って、そう、なんつーか、
「…ルフィ、ひとつ聞いていいか」
「ん…?」
「もしかして、…来たことある…?こういうとこ」
「――――うん…。」
薄々感づいてはいても、ガン、と頭を殴られたような衝撃を受けた。と同時に、ある可能性に思い至って思わず細い二の腕を掴んで詰め寄る。初めてルフィを抱いた時、それがルフィの「初めて」だと思ってたけど、もしかしたら、
「……ちょ、ちょっと待て、それって」
「ちがう彼女いた時!!…一回だけ…!」
「…男はおれだけ?」
ちょっと赤みが差した顔で、でも必死な表情で頷くルフィに、安堵と少し落胆にも似た複雑な感情を抱えて、おれはそうか、と呟いたきり何も言えなくなった。でもそりゃそうだ。お前のことコドモだと思ったことなんかない、とはおれがかつてこいつに向かって言った台詞だ。なんだかんだそういう昔の話ちゃんとしたことなかったけど、もう19で、大学生で、この性格の良さときれいな顔立ちしてりゃあ、彼女の数人くらいいたって不思議じゃない。
ルフィの腕を掴んでいた手を離して、特に意味もないままがしがし自分の髪を乱してみる。わかっている。わかってはいる、けど。
「――がっかりしたか?」
「へ?」
「おれが思ったよりキレイじゃなくて、ガッカリしたか?」
そう言って見上げるルフィの目が、何か強い感情でキラキラ光っているのを見て、おれはここで回答を誤ったら、取り返しがつかなくなるような気がして生唾を飲み込んだ。
「するわけねえじゃん!…ガッカリっつか、…ちょっと、悔しくて」
言葉にしたらしっくり自分の感情が腹の中に収まった。そうか、おれは悔しかったんだ。おれの知らないルフィを知ってるヤツらが、何人もいる可能性に気がついて。
「おれも」
「え?」
「――おれのほうが絶対悔しい。おれは、女の子とするときはあれだけど、……こーいうのは、エースがはじめて、だし。…でも、エースは、そうじゃない。」
「―――ルフィ、」
俯いてしまったルフィの肩に手をかける。そうして触れて初めて、何かを耐えるように、細い肩が強張っているのがわかった。
「――おれだって、こういうのエースに知られるのなんかやだったし、別にがっかりとかしないし、当たり前だって、わかってる、けど」
「ルフィ」
「…やだ…!!はなせエース…!!」
たまらず抱き締めた。腕の中でルフィが身をよじって腕を突っぱねるが、放してなんかやらない。自分も同じ気持ちだからわかる。確信があった。だって、だってこれはルフィが見せてくれた初めての、
「嫉妬してくれた…?」
「―――…!!」
「…ごめん、ルフィ。おれ今超嬉しい。バカでごめん」
「……ふ、ざけんな、ばか…!!」
「うん、ごめん。ルフィ愛してる。ルフィだけ。ごめん。」
愛してる、お前だけ、なんて、どこぞの昼メロの駄目男の常套句だ。自分がこんな陳腐な台詞言う日が来るとは夢にも思わなかった。だけどいまはそれ以外、伝えるべき言葉が見つからなかった。力一杯抱きしめて抱きしめて、精一杯真摯な気持ちで正直に思ってること伝える以外、何もできなかった。
汚い、と罵られても文句は言えないはずだった。
ルフィの手を引いてホテルまでの道を歩く間。慣れた順序で部屋に入る手続きをする間。ここに来るまでの色んな仕草で、ルフィは多分おれがこういう場に来た回数をおよそ悟ったのだろう。
そういう目的で入ったこともあれば、運び屋時代のクソみたいな仕事の取引現場になったこともあった。汚い、触るなと手を跳ねのけられても、おれは何ひとつ言えないはずだった。
なのに、
「――ごめん、エース…!ごめ、めんどくさいって思わないで、くれ」
「思う訳ない。んなこと思う訳ない。ルフィ、ありがとう。愛してる。お前だけ。こんなに大事なのお前だけだ。愛してる」
背中に力一杯縋る華奢な手を感じる。胸に押し当てられた顔から直接響く、震えた声が愛しい。小さな頭を掻き抱いて、女のものとは違う、それでも腕にしっくり馴染む身体を抱きこむ。あーもうラブホでこんな感動味わうとかありえねえ!何なんだこいつ。この世の奇跡か!
「――ごめん。おれも散々バカやった場所だから、こういうとこにはお前連れこみたくなかったんだけど」
「……けど…?」
「…あー、と、お前の声、聞きたくて」
「…声?」
「お前声我慢するじゃん。おれんちでやるとき。聞きてえんだ、お前の気持ちいい声」
「―――!!」
ボ、と火がついたように真っ赤な顔でルフィが顔を上げた。ウブな反応示してくれるルフィには悪いが、おれはそれを可愛いと思ってしまったのを皮切りに完全に吹っ切れた。もうこうなったらこの愛しさを身体でお返しするしかない。
おれは強引にルフィのシャツをズボンから引き抜いて、早速素手を素肌に這わせた。
「――や、ちょ、エース!?」
「なんだよもうここまで来たら逃げ場なんかねえからな言っとくけど。大丈夫、いっぱい気持ち良くしてやるから。」
「ちょっとま、せめてシャワー、あ」
「あのスケスケの?そーなあ、外から眺めててもいいけどおれちょっと我慢できそうにねえからなあ。一緒に入るか!」
「何でそんな楽しそうなんだよ!!」
何で?そんなのお前のせいに決まってる。
******
吹っ切れた後は、狭いアパートじゃできないことをもう目一杯やってしまおうという思考回路。キスと愛撫でくたくたにしたルフィをさっさと剥くと、おれも脱いでルフィを抱え上げてバスルームに連れ込んだ。備え付けのマットを床に敷いてルフィを寝かせたら、さらにルフィの思考を奪うべく舌で、指で、手のひらでルフィの肌をまさぐっていく。
じわりと立ち上がる胸の飾りを舌先でくすぐっていると、焦らすな、とでも言うかのようにルフィの方から頭を抱え込まれた。お望み通りに口に含み、突起だけでなくその周辺までべろりと舐めて、吸いあげる。ふうう、と眉根を寄せて鼻で鳴いていたルフィが、反対側に吸いついて唾液に濡れた方を指でくにくにと転げ回した途端、白い喉を晒して喘いだ。
ルフィが溺れ始めたのがわかったから、おれはマットの向こうに置いてあるボトルに手を伸ばした。
「―――や、つめた、ふあぁ」
「ごめん、つめたかったか?…大丈夫、すぐ悦くなるから」
「ん、ん、」
マットの上で冷たさに身をよじるルフィを宥めながら、おれは大量のローションをルフィの胸から腹にかけてとろとろと零して行った。気分は料理人、とか言ったらぶん殴られそうだけど。
胸を喘がせながら、ルフィは自分の身体にかけられたものを少しだけ指にとってその感触を確かめた。さすがにこれは初めてだったようで、いまいち何されるかよくわかっていないようなそのぼんやりした顔に更に煽られる。
おれはローションに浸ったルフィの身体にひたりと掌を当てると、そのままなめらかな肌に沿ってぬめりを広げるように、愛撫を再開した。馬乗りになったまま、両手でルフィの胴体を鷲掴みにして親指で両の乳首を責める。途端に、今までとはケタ違いの快感にルフィの身体は逃げをうつが、おれが乗っかっているこの状態ではどうやったって無理だ。
「…あ、エース、ん、あっ、なんかこれ、や、ダメ!」
「気持ちいいから…?いいんだぞルフィ、どうせおれしか見てないんだから」
「や、あ、あ、おねが、やめ、…ひ、アァ!」
腹の辺りの水溜りから、下腹部に向かって掌を滑らせる。そのままぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて、ルフィの性器を捏ねまわした。途端に水の滴るような艶やかな悲鳴が上がる。その声と、濡れて血の色を増したような身体と、眉根を寄せて快感に歪む綺麗な顔。それらに煽られて、おれは戯れるような愛撫を中断してルフィに覆い被さった。
全身で液体を塗りたくるように、ルフィの身体に肌を擦りつける。膝を割って脚の間に潜り込み、身体の中心同士を意図的に重ね合わせて擦りつければ、抱きこんだルフィが身体の下で泣き、縋りつくように背中に爪を立てた。そうしなければ、ぬめる身体が不安定で心もとないのだろう。
「大丈夫、ルフィ。つかまってろ。捕まえとくから」
「ぁぁぁ、ぁ、……ああ、やだ、エース、ああん…!コレ、えろすぎ、やァ!」
「お前ほどじゃない…」
「は…!?いみわかんね、…あ、あ、あ、やぁぁア、エース、だめ!ッやぁ」
体内で暴れ回る快感にのたうつルフィの身体を更に強く抱き込んで、腰を使って揺さぶる。おれの固く滾ったモノが、ルフィの張り詰めたそれをぐちゅぐちゅ嬲っているのがわかる。腕の中でひっきりなしに鳴くルフィを慰めるように、耳に舌をくちゅりと捻じ込んでやったが、どうやら逆効果だったようでルフィの声は切迫感を増してワントーン高くなった。
「…ん、…エース、も、だめ、…あ、あ、…あぅぅ、ん、イク、イくぅ…!!」
いいよ、とは言うものの、挿入してもいないのにおれももう耐えられそうにない。想像以上に気持ちいい、ローションを纏ったルフィの肌と、何より惜しみなく上げられるルフィの嬌声がものすごいスピードで理性の手綱を焼き切って行く。
身体の熱が一点に集中する。本能が解放を求めて叫ぶ。視界が、思考が飛ぶ。
「エース、アぁ、エースぅ…!!」
「…く、やべ、おれも…!」
「ッあ――――!!!」
じわ、と股間から腹にかけて熱が広がった。
「……ッハ、はぁ、は、ルフィ、」
「――ん、ん、…はあ、はっ、エース、えー、す」
濡れた身体を絡ませたまま、とろりと舌を絡めてキスをする。溢れる唾液を飲み込む間もなく舌を絡めるから、ルフィの唇の端からたらたらとそれが零れる。それでも、全身ローションまみれのこの状態じゃ、さして大きな問題じゃない。今は、ルフィから根こそぎ理性を奪い取って、快楽でとろとろに溶かしてしまいたい。それだけだ。
「――あ、エース…?」
「ん、もうちょっとだけ、ここでな」
くたりと力の抜けたルフィを抱え起こすと、そのまま膝の上に抱え上げて肩に小さな頭を凭せ掛ける。まだ息の整わないルフィには申し訳なかったが、キモチイイことに溺れてしまっているこのタイミングを逃すわけにはいかない。
おれはぬめりを纏った指を、一気に2本ルフィの中に埋めた。
「…んぁ…!」
「そのまま。力抜いてろルフィ…。」
びくりと身体を震わせたルフィが肩の辺りで鳴いたが、それはキモチイイときの声に近い鳴き声だったからおれは構わずずぷずぷと指を埋めて前立腺を探った。
「…くぅ、ん、ん、」
「すげえな…ホントに濡れてるみたいだなルフィ。ホラ、音聞こえるか?」
「や、だ、いうな…あっ、」
「かわいー…」
ふううう、と子供が泣く時みたいな声を出して、ルフィがおれの首に縋りついた。でもホントに嫌がってたら、こいつはおれをぶん殴ってでもなんでも逃げる。でもこいつは逃げない。やだ、とかばか、とか可愛らしい悪態はついても、どんなに変態なこと言っても、かっこ悪いとこ見せても、おれを受け入れてくれる。そういうとこが、可愛い。
「…――よし、そろそろいいか?」
「…ン、う、」
「よし、じゃあ後ろ向こうか」
「…へ、」
おれはルフィが何を要求されているかわかっていないうちに、細い身体をくるりとひっくり返すと、鏡張りの壁に手を突かせて後ろから覆い被さった。ルフィを解しているだけで簡単に勃ち上がった正直な自分のそれを片手で扱いて、硬度を付ける。先端をルフィの入口にひたりと宛がうと、さすがに状況を理解したらしいルフィが、身を捩って言った。
「……え、ちょ、エース、やだやだコレやだ!」
「お前自分がどんだけ可愛い顔して喘いでるか知らないだろ?せっかくの鏡張りだし、活用しようなー」
「う、そ、やめ、…あ、ぁ、あああああ!」
ぬる、と先端が滑ったかと思うと、そのまま何の抵抗もなく亀頭がずるずる飲みこまれていく。内側から侵略されたルフィは、あー、あー、と快感に声を上げて身体を震わせて、鏡に縋りついている。壁面についた両腕の中に顔を埋めてその中で悲鳴を押し殺そうとするが、そんなもったいないことさせられない。片手で小さな顎をつかまえて顔を上げさせ、ついでに声も殺さないように口に指を突っ込んで舌を撫で、涙と唾液に濡れた顔を鏡に映す。その腕もぬるぬると滑るから、不安定さにもがくその姿が余計に艶めかしくていやらしい。絶景だ。
おれは馬鹿みたいに興奮したまま、ルフィに突っ込んだ腰をゆらゆらと動かし始めた。
「あ、でも、」
「……ア、ッァ、ぁは、」
「これそういやマジックミラーなんだよなあ…。」
「―――!?ぁに、…あ、ぁ、」
「いや、向こう側から見た図も相当絶景だろうなと思って…。な、ルフィ携帯で動画撮ってもいい?」
「……ふ、ざ、けんなぁああ!!」
だよな。
これ以上好き勝手すると本気で別れる、とか言われそうだったから、おれは冗談だよ、と冗談を言ってその涙に濡れたほっぺたに口付けて、あとはルフィを鳴かせることに集中した。
まあ本来の目的は達成できたから良しとしよう。
なんたって、「キモチイイ」と泣き叫んで悦ぶルフィの声が聴けたんだから、これ以上の贅沢をしたら罰が当たる。
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「う――――――…。のどいたい―――……。」
「はいはいごめんな、ほれ水飲め」
「エースの変態。エロ。ドエロ。猫被り。爽やか配達員。」
「地味に最後の一番堪えるなオイ。わかったおれが全部悪いから無理してしゃべんな。声掠れてんぞ」
大きなベッドにぐったりと横たわったまま、ルフィがすすり泣きながら悪態を吐く。本気で泣いてるならおれもこんな冷静に対応できないけど、ついさっきまでこのベッドの上でも散々泣かせた張本人のおれは、その延長線上で泣き癖が収まらないだけなのもわかっている。ペットボトルのミネラルウォーターに見向きもしないルフィにひとつごくごく小さく溜息をついて、おれは小さな王様のご機嫌を取るべく、シーツからはみ出たそのつるりときれいな肩を抱き寄せた。
「…――ごめん、やりすぎた。もうしない、とは約束できないけど」
「……。」
「ルフィ、ありがとう。すげー気持ち良かった。声も何もかも可愛かった。」
「――『かわいい』うれしくねえ!…おれ、だって、きもちよかったけど、…あんなん毎回されたら、頭おかしくなる…!!」
「大丈夫、おれもそんな体力ない。今日はちょっと、嬉しくて調子乗った。ごめん。」
「……。」
「ごめんな、ルフィ。…許してくれるか?」
返事はなかったし、見えない顔はおそらく唇をとんがらせているのだろうと容易に予想がついたけど、胸板にぐりぐりと擦り付けられた前髪と、胴に回された細い腕の確かな力が答えだった。こういうところが可愛い。おれはじわじわとこみ上げる笑いを我慢せずに零すと、まだ顔を見せてくれないルフィを抱き締めて、その黒髪にキスをした。
「――また連れてきてもいいか?」
「………たまに、な。」
「うん。」
「次の日が休みの時な。…おれも、エースも」
「ん。了解。」
宿泊にしてしまったからまだ時間はある。寝ろ、起こすから、と低く言ってやると、久しぶりにルフィが顔を上げた。にこりともしないまま、きょろりとおれを睨む大きな黒眼。お、と思ってちょっとびっくりしたおれに、
「――――!」
ちょん、と小さなキスをして、ルフィは無言のままもぞもぞと胸の辺りに潜り込んだ。
しばらく固まっていたおれは、腕の中から微かな寝息が聞こえてくるまで動けずに、ルフィのつむじを眺めていた。泣きたいくらいの可愛さに感激したままひとり取り残されて、おれは人知れずルフィを抱き締めてしばらく眠れない夜を過ごした。
散々泣かせたつもりが、どうしようもない愛しさに最後に泣かされたのは、実はおれだったと、まあ、そう言う話。
カウンター
ピンポンアタック
えー…
梨香さんのリクエストで…。
「ピンポンシリーズで、ルフィの声が聞きたいエースがホテルに泊まろうと画策→実行する」でした…。
すみませんなんかすごいお待たせした割になんかただエース(と私)が好き勝手やってるだけみたいになりました!!!
前々から楽しみにしてますと言って頂いていたのに…。書いてる私はウキウキで色んなラブホの内装とかググってたんですk(だ ま れ
すみません超楽しかったです!すみません!梨香さん!素敵なリクをありがとうございました!!
20120205 Joe.H
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