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※caution!!R18
「……んっ、…エース、っ、ごめん、エース…!ッふ、」
「――…ルフィ、…、ごめん、…ごめん、ルフィ…。」
ごめん。ごめんな。おれこそごめん。
抱き合って求め合いながら、お互いの服を肌蹴ながら、おれもエースも謝り続けた。お互いわかっていた。
おれはエースにおれより自分を大切にしてほしくて、エースは自分より家族を大切にしてほしいと思ってくれていた。
それだけのことだった。それだけのことだったのに、意地を張って、怒らせて、泣いて、悲しい思いをさせて。会えない時間が辛かった。話ができない時間が辛かった。一緒にいられなくてもいい。どこかで相手を感じていられれば、それが相手のためならば、数日くらい、我慢できたはずなのに。
畳の上に座り込んだまま、何度も何度もキスをする。全然足りなくて、おれは自分から大きく口を開けてエースの舌を受け入れた。エースは、真横に近い角度で顔を思いっきり傾けて、大きな手のひらでおれの首を強く掴んで引き寄せて、喉の奥まで届くかというくらい深く上あごを舐めて、何度も何度も舌を絡めて甘噛みして、強く吸い上げてくれた。
もう、「ごめん」はいらなかった。時々、ん、ん、とおれが漏らすしあわせの声と、息継ぎの荒い息遣い、それからくちゅくちゅ激しい水音を立てて、おれたちは思いっきりキスをした。
キスしながら、エースの左手は器用におれのパーカーの裾からもぐりこみ、背骨を指でつう、となぞった。それだけで、おれは感じて震えを止められない。手探りでエースのシャツの胸元をつかみ、ぶるぶる震える指で必死でボタンを外す。やっとの思いで2つ外した時、ちゅ、と音を立てておれのくちびるを吸って、エースがキスを解いた。
はあ、と熱い息を吐いて、シャツの襟元を大きくくつろげたまま、エースはおれの耳に舌を差しこんだ。おれは反射的に悲鳴を上げてあまりに強い快感から逃げようと身をよじったが、エースはそれを許してはくれなかった。長い腕で強くおれをつかまえて、べろ、と耳全体をゆっくり舐めたり、耳たぶを口に含んで舌で転がしたり、穴に差し込んだ舌を何度も往復させて突いたりした。おれが快感に骨抜きにされたと見るや否や、大きな手が太ももを這ったり、布の上から乳首をころころと探るもどかしい刺激も加わる。もう手に力は入らなかった。腕をまわして、大きな背中にすがりつくだけ。あー、あー、と意味もなく弱弱しい喘ぎだけが、今のおれにできる全てだった。
「……エース、あ、エース…!ぬぎたい…!ちゃんと、さわって…!」
「ん、…パーカー脱げそうか」
「……ぅ、や、…手、ちから、はいんなぃ、んっ」
「わかった、焦んなくていいから最初に腕抜け、そで押さえてるから。…そう、いい子だ。脱がすぞ」
そうやさしく言うと、エースは下に着ていたTシャツごと裾を持ち上げておれの首から抜き去った。脱ぎ終わるやいなや、おれはエースになだれ込むようにしがみついた。エースは自分からもおれを引き寄せて強く強く抱きしめてくれた。そのまま畳の上に押し倒されて、馬乗りされる。ベルトのバックルを外されて、そのままパンツごとズボンをずりおろして脱がされる。
おればっか、と羞恥心を感じたのはほんの一瞬。おれを馬乗りになって抑えつけたまま、エースは肌蹴かけていたシャツを一気に脱ぎ捨てた。ベルトだけ抜き去ってジッパーを降ろすと、そのままおれに覆いかぶさって首筋に顔を埋めた。
肌同士がひたりと吸い付くように合わさる感触。腕を回した大きな背中は、しっとり汗ばんであたたかい。これが欲しかった。もっと欲しい。全然足りない。おれは自分から脚を開いて、間にエースの身体を迎え入れた。
更に深く、おれの上にエースが沈み込んだ。もう一度深くキスしながら、股間にエースの腰が強く押し付けられて、おれはまたその強い快感に鳴いた。ベルトを抜いてくれたのは、こうしてもおれが冷たかったり痛かったりしないようにしてくれたのだ。エースのそれも、硬く張り詰めて熱かった。嬉しかった。求めてくれてる。大事にしてくれてる。愛して、くれている。それがわかった。
首筋。両の乳首。みぞおち。わき腹。へそ。下腹。エースの舌が、指が、手のひらがやさしく這い、くすぐり、じわじわと下に下がってゆく。
脚の付け根をエースの舌が辿り、太ももを掴まれてその間に顔を埋められた。もうすでに先走りで濡れに濡れていたそこを、エースがきれいにするかのように吸いあげて舐め取る。張り詰めているだろう根元の袋をまるごと含まれて、あまりの快感に髪を振り乱して喘いだ。
愛されている。その証明のようなやさしく長く、丁寧なフェラだった。
おれは、また少し泣いた。
******
「……あっ、ん、…おっき、ぃ、…あ、あ、あ、」
「ん、ルフィ、痛いか、待つか?」
「い、や、…だいじょぶ、だから。ん、全部、いれて」
はやく。はやく。エースがほしい。足りない。はやくいれて。
何かに追われるように、ルフィはおれを求めて泣いた。それに煽られて一気にずぶずぶと収めた後で後悔し、動きを止めて顔色をうかがうと、それでもルフィは奥を求めて腰をゆらめかせた。お預け期間が長すぎたせいでおれも全く余裕がなかったから、あっさり流されてそのまま硬く滾ったモノを根元まで差し込んだ。
はあ、と満足したような色っぽい吐息を吐きながら、ルフィは目を閉じて感じ入っていた。これが欲しかった、とでもいうかのように。
足りないものが埋められ満たされる感覚。それはおれにはわからない快感だ。でも、おれはルフィを内側から征服し乱していく、その感覚をどうしようもなく求めていた。ルフィの身体に自身を埋めて、思うまま鳴かせて快感をもらう。それは、抗いがたい悦楽だった。求めたルフィの身体に包み込まれて満たされたのは、おれも同じ。耐え性もなく、おれはゆっくり腰を打ちつけた。ん、ん、とルフィが小さく鼻にかかった声を上げる。
挿入時は強張っていた身体が、快感を拾い始めてゆっくり弛緩していく。もっと、とルフィがささやいたのをきっかけに、おれは動きを大きくして、打ち付けるだけではなく、抜き挿しするものに変えた。ずるりと引き抜いてはぐぷ、と湿った音を立てて押し入る。
途端、ルフィの喘ぎが激しくなる。声が抑えられないようだ。隣を気にするルフィのために、いつものように口づけると、ルフィの方から強く強く引き寄せられた。
と、揺さぶられるままルフィが唇を離した。
「……あ、エース、ん、…ゴメン、な、ァ…ッ!!…、…、ごめ、」
「――なに、言ってんだよ…。おれだって、怒鳴って、ひとりでほっぽりだして、お前泣かせて。お互いさまだって、わかってるだろ…?」
「んっ、おれ、…すこしで、よかったんだ。…ふ、ぅ、…ン、ちょっとでいい、から、そばにいられたら、それで、よかったのに…ッ、あ、あ、ア、」
「いいから、…もういい、ルフィ」
「…ッん、エース、イく、い、ック!」
いいよ、と言おうとしてはっと気付いた。今さら腰の動きは止められないまま、ルフィを更に強く揺さぶりながら話しかけた。
「ごめん、ルフィ、っは、おれ、今日ナマだ。後で抜くから、」
「……イイ、っん、いいから、そのまま」
「え、」
「抜か、ないで…。ナカ、だしていいから、…ッン!抜かない、で!」
何かが俺の中で爆発したような気がした。熱い熱い血が全身をものすごいスピードで駆け巡って行ったのがわかった。もう理性なんか吹っ飛んで、あとはもう本能のままにルフィの身体をゆさぶった。かろうじて、もう悲鳴に近い嬌声を抑えるために口づけてあげられたが、そのほかは正直よく覚えていない。
ぐりぐり、とルフィの先端を嬲った瞬間、そこから飛沫を吹き上げてルフィが達した。痙攣する身体を抱きしめて腰を打ちつけて、最後の頂点めがけて一際深く突き入れた。ルフィの熱いぬめる胎内に、おれは自分の精を思い切りたたき付けた。
あつい、と掠れた声でささやいてルフィが身体を震わせた。ごめんな、とおれも荒い息の中からささやいて、もう一度今度はやさしく口づけた。
******
「……お、何だこれ、ネックウォーマー?」
「うん。ちょっと地味だけどごめんな。仕事中もつけてられるような奴にしようと思って」
「超嬉しい、助かるわ!…ありがとうな、ルフィ」
「んーん、…あとな、これも」
起き上がってやればいいんだろうけど、おれもルフィも離したくなくて離れたくなくて、布団の中で腕枕してくっついたままプレゼント交換中。ルフィは少し気だるい動作で枕元に置いたかばんに手を伸ばして、中から手探りでもうひとつ包みを取りだした。長方形の、あまり厚みはない包み。
「…何これ?」
「誕生日プレゼント。まだ開けないでな。当日一緒にいれないけど、日付変わる位に電話するから、そしたらその時開けてくれ。」
「…こっそり開けたら?」
「超怒る」
「ハイ」
笑って額にくちづける。ありがとうの気持ちを込めて。幸せだ。よかった。またこうしてルフィを抱きしめることができる。仲直りのセックスは気持ちイイっていうし、実際今日のはいつにもましてヤバかったけど、でもルフィを泣かせないで済むならその方がいい。ルフィには、いつだって笑っててほしい。おれは大好きな愛しい笑顔を閉じ込めるように、じわりと腕に力を込めてルフィを抱きしめた。
「…じゃあ、これはおれから。」
「…?」
おれは近くに脱ぎ捨てたまんまだった上着のポケットから小さな包みを取り出して、腕の中のルフィに渡した。包みをまじまじと見つめていたルフィは、腕の中から小さくおれを見上げて問いかけた。
「…あけてい?」
「どーぞ」
ちょっとおれに笑いかけてから、微妙に力の入ってなさそうな指でもどかしく包みを開いていくルフィ。それを見守りながら、おれは少しだけ心拍数を上げていた。喜んでくれるといい。重くなければいい。そう思いながら。
あ、と声を零してルフィが取りだしたものは、革のキーケース。おれのものと色違いの、少し色の明るいもの。
「エース、これ、」
「ん、おれと同じやつ。…使うかどうかわかんないけど、お前カギよくなくすって言ってたから、」
「使わない訳ない!ありがと、エースすっげえ嬉しい!おそろいめっちゃ嬉しい!!ありがとう!!」
ぎゅう、とひとつ強く抱き付いてから、ルフィはまたそれをまじまじと大切そうに眺めた。しかし、実はもうひとつ仕掛けが合って、おれにとってはそちらに対する反応も気になるところだった。
「ルフィ、それ、中見て」
「中?」
ぱち、と音を立ててルフィが留め金を外して、キーケースをゆっくりひらいた。
そこには、もうすでに鍵がひとつついていた。つけたのはおれ。ルフィの家の鍵じゃない。
「――エー、ス、」
「…ここの、おれの部屋の、鍵。要らねえかもしれないけど、いつでも、好きに入っていいから。」
鍵をつまむ指先をその上から包み込む。ルフィの瞳は、鍵をじっとみつめたまま。
「こないだみたいに、忙しくて会えなくても、…もし、お前がここで待っててくれて、おかえりって、言ってくれたら、おれ、すげえ嬉しいから、…だから、あの、」
……えーと、ルフィ?
だんだん尻すぼみになって弱弱しくそう問いかけると、おれはもう何も言うことがなくなって、ひたすらルフィの反応を待つだけになった。
恐る恐るルフィの顔を覗き込むと、
「―――ッ、エース!!」
「うお、ッッガハ!!」
「エース、エース、エースエースエース!!」
「…ぅ、ルフィ、ゲホ、」
油断していたところへ、ルフィの体当たりのハグ。喉元の気管を直撃されて、思わずむせる。それでも反射的に上に乗っかるルフィの細い身体に腕をまわして支えているあたり、おれも相当だ。
「…ありがとう、エース、ありがとう!めっちゃ嬉しい…!」
「いや、なんかただの鍵だし、」
そんなよろこんでもらえると逆に申し訳ないって言うか、
「んーん、嬉しい。ありがとう。エース、おれがいたら元気出る?」
「…出る。間違いねえ。」
「帰ってきておれがいたら、うれしい?」
「うれしい。寝ててもいいよ。お前がいたら嬉しい。」
「寝てても?」
「寝ててもいいよ。襲うから」
「ぎゃー」
けらけら笑っているルフィのその声が、少しだけ潤んでいるのがおれにはわかった。無理矢理顔を上げさせて涙目を確認してもよかったけど、今は、ルフィの腕の力に従って抱きしめ返したかった。
イブの夜はもうとっくに終わっていたが、サンタさんは今頃世界中の家を回って大忙しだろう。
一足先に、おれの任務は完了だ。
腕の中のルフィを抱きしめて、幸せに浸って眠ることにしよう。おれは黒髪に口元を埋めたまま目を閉じた。
鈴の音は聞こえない。聞こえるのは、すん、とルフィが鼻をすすりあげる音だけだった。
ジングルピンポン
A Merry Merry Christmas!!
20111224 Joe H.
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