(超論破2/ナチュラルに日向が本校にいる)




歩く度にひょこひょこと頭の左右で揺れる西園寺の髪が今はさらりと床に流れている。それは少し手に取ってみると微かに甘い匂いが鼻を掠めた。

「西園寺」

名前を呼んでみたけれど、閉じられた瞼が開くことはなく規則正しい寝息が聞こえるだけだった。
そろそろ脚が痺れてきたんだけどなぁ、なんて心の言葉は当然伝わるはずもない。男の膝枕なんかでよくここまで眠れるなというほど爆睡する西園寺の髪にもう一度触れる。

「そろそろ起きないと授業遅れるぞ」

起きていないのは分かっているが何だか独りなのも寂しくて話しかける。まあ、反応はないのだけれど。でも本当、そろそろ起きてもらわないと授業には遅れてしまうし、ギリギリまで居たとしても脚が痺れて俺一人置いていかれるのは目に見えている。

「西園寺、西園寺。起きろ」
「ぅ、ん……」

眉をひそめて身動いだ西園寺に起きたかと問いかけるも俺のお腹辺りに顔を埋めただけで動かなくなってしまった。この野郎、まだ寝るか。トントンと頭を軽く叩けば邪魔とばかりに払い落とされる。

「授業サボるのか」
「ん…ぅー……」
「小泉に怒られるぞ」

一瞬、ピクリと反応したがやはり起きる気はないらしい。昼休み終了の鐘が鳴り響いた。はあ、とため息を1つ。仕方がない。まあ、いっかとまた眠る西園寺の髪を撫でた。

「…さっきから、髪ばっか。変態か」
「寝るんだろ。黙って寝てろよ」

下を見れば口を尖らした西園寺と目が合った。不機嫌、ではないなと今までの付き合いの中でそれは分かるので睨み付けてくる視線をほぼ無視して髪を触り続けた。

「もうっ、そんなに触られたら寝れない!」

じゃあもう起きろよと言うよりも前に手を取られぎゅっと握られた。そのまままたお腹のほうに顔を埋めた西園寺はゆっくりと寝息をたて始める。引き抜こうにもがっちりと頬でも食い止められていて変に動くとまた文句を言われそうだ。

「……早く授業終わんねぇかな」
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