「ただいまー!」
「お邪魔しまーす…」


円堂監督に晩ご飯を誘われて連れて来られた大きなお家。金持ちか…!ってくらい大きいから、本当に金持ちなんだろう。本当デカイ。
元気いっぱいに帰ったことを伝える円堂監督の後ろをちょっと戸惑いながらもお邪魔させてもらう。家もデカけりゃ玄関もデカイ。広い。


「パパーっ!おかえりなさい!!」


パタパタと聞こえた足音はいつの間にか円堂監督の腕の中へと飛び込んでいて…、ん?………ん?


「ただいま流司!今日もいっぱい遊んだか?」
「うんっ!」
「おかえりなさい、円堂くん。いらっしゃい、松風くん」


奥から出て来た人はすっごくキレイな人で、足元には小さな男の子が………うん?


「天馬!紹介するな。俺の奥さんの夏美と、」
「こんばんは」
「息子の宙斗とこっちが流司だ!」


そう言って円堂監督は家族を紹介してくれた。


「こ、こんばんは…」
「こんばんはー!」
「こ…こんばんはー……って、円堂監督子供いたんですか?!」


男の子二人を交互に見て挨拶をくれたので挨拶を返したけども。まさか子供がいるなんて!!奥さんがいたってか結婚してたってかそういう人がいるのも驚きなのに!まさか子供…しかも2人もなんて…!!


「かわいいだろー?」


ほらほら、と抱っこしている流司くんを近づける監督。いやまあかわいいですけど…それよりも、驚きのほうが勝るって言うか……。


「おにいちゃん、なまえなんていうのー?」
「え、あ、松風天馬って言うんだ。よろしくね、流司くん」


監督のおかげで近づいた流司くんが俺の肩の服をツンツンと引っ張って聞いて来たので答えれば、小さく「てんまにいちゃん」って聞こえた。


「てんまにいちゃんだ!!」
「痛い、流司くんパパ痛い」


俺の名前の呼び方が決まったらしく、元気よく手を上げて大きな声で叫んだ。その手は丁度監督の顔に当たって、結構痛かったらしくさすっている。


「いつまでも玄関で話してたら悪いわ。松風くん、中へどうぞ」
「どぉぞー!」


夏美さんを真似て流司くんが言う。監督似なのかな、元気な子だなあなんて思いながらお邪魔させてもらう。逆に夏美さんにずっと引っ付いてる宙斗くんは、恥ずかしがり屋さんなのかな。たまに目が合うんだけどすぐ逸らされちゃってるけど…。


「わあー!美味しそう!!」


リビングへと通されて、目に入ったたくさんの料理にそんな言葉が溢れた。
監督に言われるがまま席につく。左から円堂監督、流司くん、宙斗くん、夏美さん、だ。丸いテーブルだからほぼ目の前に流司くんと宙斗くんがいる。流司くんは目が合う度に笑ってくれるんだけど、宙斗くんは…まあ、……人見知りってことにしておこう…!




そしてご飯なんだけど、なんていうのかな……その、簡潔に言えば、その……100回以上噛めば少し美味しくなった気がした。辛い……。


「てんまにいちゃんもサッカーするの?」


半分以上の食事を飲み物で流し込んだ俺とは違い、慣れたようにあの食事を100回以上しっかり噛んで食べていた流司くんがワクワクしたように聞いてきた。
水っ腹でちょっと気分が悪くて横にさせてもらっていたソファーに座ると、そこに流司くんが座ってきた。


「もちろん!今、流司くんのお父さんに色々教えてもらってるんだ」
「わぁ…!オレも!オレもパパにサッカーおしえてもらってる!!」


お揃いだねーとハイタッチみたいに手を合わせる。小さな手だけどすごく温かい。2人で笑いあっていたら椅子に座っている円堂監督の足元にいる宙斗くんが見えた。


「あのね、ひろとね、ひとみちりなんだぁ」
「そっかあ…宙斗くんもサッカーするの?」
「うん!いっつもね、よーちえんでいっしょにしてる!おうちかえってもしてる!」
「じゃあ俺と一緒だね」
「てんまにいちゃんもサッカー大好き?」
「うんっ、大好きだよ!」


と返事を返したらいつの間にか流司くんは宙斗くんのところへ。あ、足速いなあ。二言三言、何かを言い合った2人は手を繋いでこちらへとやってきた。そのまま流司くんが俺を指さして、


「てんまにいちゃん!」
「え?」
「…てんま、おにいちゃん…?」


なに?って聞こうと思ったけど、今のは宙斗くんに俺の名前を教えてあげたみたい。よろしくねって、言ったら宙斗くんはちょっと照れくさそうに笑って頷いてくれた。

家に連れて帰りたいとは思ってません。



(天馬と会わせたかっただけ)





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