ぽかぽかと暖かな日差しがリビングに差し込むようになったのは、夏の暑さが和らいだ頃だった。朝と夜は冷え込んで、陽が真上にある昼間は汗ばむ程度に暑い。そんな毎日の中でぽかぽかで気持ちがいいのが夕方だ。
陽がオレンジ色に変わるより前には帰りなさい、という約束をきちんと守って帰ってくる息子たちのためにオレンジジュースを用意する。昼間にたくさん遊んで来た息子たちが泥んこまみれのまま、腰に手を当てて一気に飲み干すのだ。パパの真似、と笑って教えてくれた2人はそれはそれは楽しそうで、私まで楽しくなってしまった。
そういえば、今日はパパと遊びに出ているから、2人のその姿を見るのは今日が初めてだったわね。どんな反応するかしら。
泣いて喜ぶかも、なんて考えてたまらず笑みがこぼれた。

「その前に、お布団入れなくちゃ」

庭へ出て干していたお布団をリビングへと運び込む。太陽の光をたくさん浴びたそれは暖かくて、ちょっとだけ、入れたばかりのお布団の上に倒れ込んだら洗剤とは違う、いい香りが鼻をくすぐった。






「「ただいまー!」」
「たっだいまー!」

今日も目一杯、たくさん遊んで泥だらけになった宙斗と流司の体や服についた泥と砂を出来るだけ落として家の中へと入れてやる。自分にもついた泥を落として、家に入ろうと一歩踏み出した所で玄関からリビングに向かっている小さなたくさんの足跡にしまった、と一言。
怒られるな、と呟いて靴下を脱ぎ持っていたタオルで軽く足を拭いて、ぞうきんをもらいにリビングへと向かった。

「夏美ー、ぞうきん一枚ほしいんだけど……って、何してるんだ?」

2人とも、と言いかけたところで流司がしー、と口の前に人差し指を立ててきた。どうしたのだろうと言われた通り黙って、そして静かに2人に近付いた。

「お」

流司のいるほうを覗き込めば、そこには無造作に積み重ねられた布団の上にうつ伏せに寝転ぶ夏美の姿。そしてその夏美に横に畳まれていた、いつも昼寝に使うブランケットを宙斗がかけていた。

「ママねてるからしずかにだよ」
「しー、だよ」

さっきの流司みたく、今度は宙斗も一緒に仲良くしー、と言われてしまった。そんな2人と、幸せそうに眠る夏美を見てすごく暖かな気持ちになった。ああ、なんて、なんて幸せだろうか。笑う宙斗と流司の頭を撫でて夏美を起こさないように、3人で布団の上へと倒れ込んだ。





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