唐突だが俺には好きな奴が居る。もう一度言う、この俺に、好きな奴が、いる。さつきに話せば間違いなく笑われるからぜってー言わねーけど間違いなくいる。同じクラスの名字名前、高嶺の花とか言われてっけどあれか?高いのか?買うとかじゃねーのは確かだ。名字は花じゃねーし。
そんな名字は今日も可愛く挨拶を俺にしてくれる。これで部活まで頑張れっぞ…単細胞だとか言われても今はいい、気分がいいからな。

初めて話したのは5月、隣の席になった時によろしくね、とニコニコ笑いながら言ってた時。さつきと仲がいいのは知ってたがこの時まで正直興味なんてなかった。しかし俺はあの笑顔にコロッと落ちたわけだ。すんげー可愛いんだぜ!?

この前なんか授業中寝てて、当てられたんだけどよこっそり答え教えてくれたし、弁当忘れた日は分けてくれたりしてよ、親切で優しい名字を好きになるのはそう遅くはなかったって訳よ。
は?餌付けされてる?ンなわけねえだろ!?ふざけんな!!

しかも朝はいつも青峰君おはようって笑顔で言うし、部活頑張って!!って応援もしてくれるしよ。
もう惚れるっきゃねーだろ?
あ、名字が船漕ぎ始めた。シャーペンを手に軽く当てて寝んの我慢して偉いなあいつ。俺なら迷わず寝んのに。
日当たりもいいし、俺もなんだか眠くなってきたから寝るか。英語なんて日本に住んでりゃ使わねーしな。無駄無駄






「あ…み……ん」

誰かが揺すって俺を起こそうとしてる。正直まだ寝てーからあと2時間寝かせろっつって寝なおそうとするが、ぼんやりとした視界に名字が映って思わず飛び起きた。いい目覚めだ…

「もう授業終わっちゃったよ?残ってるのは日直の私と青峰君だけだね」

「あーマジ?名字起こしてくれてサンキューな」

名字の頭を軽く撫でて教室を急いで出る。顔がニヤけてねーか確認するにも鏡がねえ。気を紛らわすために廊下を走って教頭に怒鳴られた。廊下を走るな?そんなん知らねーよ


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私の好きな人は青峰大輝君。色黒で、青くてちょっと(かなり)怖いけれどいい人だってさつきちゃんが言ってた。
さつきちゃんとはお友達だけど、さつきちゃんの幼馴染である青峰君とは隣になるまで接点なんかなくて、お互い話しをたこともなかった。

やっぱり第一印象は怖い人。暫く話してみると面白いこと言ったり、寝言だったり、意外な一面を見ていくうちにだんだん青峰君の事が気になっていって、いつしか彼の事で頭がいっぱいになった。
これが好き。これが、恋。初めての感覚に心が締め付けられ、苦しくて苦しくて仕方ない。

青峰君は去年試合で初めて負けてから、きちんと練習に出るようになったってさつきちゃんが言ってた。なんか私又聞きばかりだな…

とりあえずそんな彼は窓際の席で寝息をたてている。子供みたいな寝顔で時よりニッ笑う。どんな夢をみてるのだろうか。
幸せそうなところ悪いけれど、そろそろさつきちゃんが言ってた部活の時間なので起こしても、あと2時間寝かせろと言って寝直そとしてしまう。
仕方ないのでさつきちゃんを呼ぼうと携帯を手にしたら、サッと起きてお礼と頭を撫でて行ってしまった。嵐が過ぎ去ったような感じがして、暫くそこに立ち、撫でられた所にゆっくり手を置く。気持ちが溢れてしまいそうなのをぐっと堪えて私も部活へ急ぐ。私が好き、と言えるまでそう長くはなかった。
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