10月中旬
紅葉で赤が広がり、風も強くなってきたこの頃。
僕は作ったネックレスを彼女の病室の机に置いた。白いパンジーと青いビオラで涼しそうな配色になってしまったがしかたない。夏はエボルブルスで髪飾りを作ったり、ペンタスでブレスレットを作ったりした。自分で言うのもなんだが、かなりうまくできている自信がある。今まで作ってきたものは、さっきネックレスを置いた机の引き出しにしまっている。
風見や他の公安もよく来ているようなので出しっぱなしにしておくのはかなり不味い。開けられると困るので鍵をかけておくことにした。
「降谷さん、降谷さん…起きてください」
「かざみ?あぁ……寝てたのか」
「コーヒー買ってあるのでよかったらどうぞ」
「すまないな。で、風見も見舞いに?」
「そうです。彼女は私の部下でもありますから……しかし私が不甲斐ないばかりにこんな目に遭わせてしまって…」
「風見は悪くないさ。こうして生きてるんだいなくなられるよりマシだろ」
「そう、ですね」
その日はいつもより少し長くそこにいた。これからあの組織を潰すため今よりもずっと忙しくなる。彼女の見舞いにも殆ど来れなくなるだろう。
僕は心配で心配で堪らなかった。
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(7|13)