安堵


「Mum!」

「零士っ!!だめじゃない一人で行っちゃ!もうママ心配したんだから…」

「ごめんなしゃ、Mumごめんなしゃなかないでっ」

秀一にだっこされている零士が私の方へ身を乗り出す。バタバタ手足を必死に動かして私を慰めようとする。秀一から零士を受け取り抱きしめた。
帰ってきた温もりを感じ胸が締め付けられて苦しい。

「Mum?」

「もう大丈夫、」

秀一が私と零士を優しく抱きしめる。それを彼が見ていることにも気付かず身を任せた。
私が落ち着いた頃にメアリーさんと真澄ちゃんに昴と翼が迎えに来てくれた。可愛い双子は秀一によく似ている。私に似ているところがあまりないように見受けられるが、笑った顔がよく似ているらしい。自分では見えないのでよくわからないが、秀一がそう言っていた。

「遅くて二人がぐずっちゃったんだ。来るのはどうかと思ったんだけどあまりにも寂しそうにするからつい…」

「本当?ダメじゃないいい子にしてなきゃ」

真澄ちゃんにだっこされている昴が嬉しそうに笑う。そんな顔されては怒るに怒れないし、怒る気も失せる。メアリーさんは秀一に翼を持っていかれないようにしながら歩いていた。ただでさえ目立っていたのにもっと目立ってしまう。もう吹っ切れるしかない。

「……じゃあ帰るか。母さんと真澄は車どこに停めたんだ?」

「近くの公園から歩いてきたからそこに」

「じゃあ家で」

ふと視線を感じて振り返るがそこにはなにもなかった。一体なんだったのだろうか。


  
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